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メシエ番号××



訓練後、シャワーを浴びてすっきりとしたシーラは、髪を拭きながら更衣室へとやってきた。
このあとは夕飯で、そこからは就寝時間まで自由時間だ。

「あー!お腹空いたー!今日の夕飯は何かなー?」
「もう、ゆづるさんったらさっきからそればっかり」

そう会話しながらシャワールームから出て来たのは、ゆづるとエヴァだ。
しきりに夕飯の事を気にしているゆづるは、エヴァとシーラよりも年上の女性なのだが、
こうしてエヴァにくすくすと笑われているところを見ると、どうもその概念が抜けてしまう。
しかし、決して近寄りがたくないそこが、またゆづるのいい所だ。

―――と、そんな事を思っていたとこで、ついシーラの視線は彼女達の首から下に
移ってしまう。二人ともシャワーを浴びたあとだから、もちろん裸だ。
最初の頃はもじもじと恥ずかしがっていたエヴァだったが、今では恥ずかしがっている
様子は見られない。堂々と―――と言うのもおかしいが、その大きな胸をさらけ出している。
そして元から、「女の子しかいないんだし」と特に恥じらいが無いゆづるの胸も、
エヴァ同様に世間一般でいう巨乳に分類する。

今に始まった事ではないが、この状況はBカップのシーラとしてはとても肩身が
狭いものがあった。

「・・・羨ましい」

大きな乳房に見入ってしまう。

「あ、あんまり見ないで・・・」

シーラの視線に気づいたエヴァが、顔を赤くして胸元を隠した。
だが、その溢れんばかりの胸は隠しきれていない。それがなおの事悔しい。
そんなシーラを見てゆづるは笑う。

「なんで笑うんですか!ゆづるさん!」

キっと、シーラが睨むようにゆづるを見れば、彼女は「ごめん、ごめん」と謝った。

「まぁ、シーラっちはまだ十六でしょ?これからだよ!これから!」
「だといいんですけど・・・」

ゆづるに背中を叩かれながら、シーラは自分の胸を見下ろす。

「―――ところでゆづるさんは何カップなんですか?」

前から聞きたかったが怖くて聞けなかったそれを、シーラは思い切って口に出した。

「ん?Gカップ」

自分よりも大分あとのアルファベットを耳にして、シーラは少し目眩を感じた。

「ちなみにミッシェルちゃんがEカップでぇー、エヴァにゃんはHカップ!」
「!な、なんで知ってるんですかぁ!」

顔を真っ赤にしてエヴァが声を上げる。

「私ほどになれば目測で分かるのだよ!」
「自信満々に言う事じゃないです・・・!」

―――なんて二人の会話が続いているも、シーラは最早聞いちゃいない。
E、G、H・・・。途方もない、なんて途方もない―――





「―――おい、聞いたか?ゆづるさんGカップだってよ」

女性専用のシャワールームに聞き耳を立てていた燈は、同じく聞き耳を立てている
マルコスとアレックスを見る。

「Gィ!?どうりでデカイわけだよ・・・」
「グラビアも真っ青だな・・・」

マルコスが驚き、アレックスは顎に手をやって感慨深く頷く。

「ミッシェルさんはEらしいぞ・・・」
「―――誰がEだって?」

マルコスでもない、アレックスでもない、その凛とした声に燈は体が強ばる。
二人も、見事に固まっていた。三人で互いに視線を合わせ、恐る恐る振り返る。

―――そこには、眼鏡の奥から冷たい目を光らせたミッシェルの姿が。

「ど、どもミッシェルさん・・・!」

「今日もキレイですねー・・・!」なんて燈は言ってみせるが、彼女に
この手のおべっかは通じない事は分かりきっていた。

「なぁ、レディ専用のシャワールームの前で、野郎三人が何をしてたか説明してくれるか?」

ミッシェルの指がボキボキと鳴る音が、燈達の耳に痛いほど響いた。



2014.10.15