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02



「あ〜〜〜!!!!今日も疲れたぁ〜!!」

そう、訓練が終わると同時に「もう歩けないいぃ〜!」と、ゆづるは床に
ごろりと仰向けに寝っ転がる。
するとミッシェルがそばへやって来てゆづるを見下ろす。

「こんぐらいでへばってんじゃねぇよ。マシュマロ豚」

ゆづるの上に影を落としたミッシェルは、ついでにその足もお腹に落としてきた。

「おうふっ!?ミッシェルちゃん足ぃ!!内蔵がぁ!内蔵がぁ!」

手加減しているだろうが、それでも破裂しそうな圧迫感にゆづるはじたばたともがく。
と、そこへ、

「こら、ミッシェル。その辺にしておきなさい」
「小吉さぁん!!」

我らが頼れる艦長、小町小吉の助け船だ。

「チッ」

彼に嗜められたミッシェルは舌打ちをして、ゆづるの腹から足をどける。
圧迫感から開放されたゆづるは、起き上がってミッシェルに詰め寄る。

「ミッシェルちゃん舌打ちした!?今舌打ちしたよね!?なんで!?」
「うるせぇ、近い」
「むぐ」

微かに眉根を寄せたミッシェルに押しのけられる。
―――なんだか今日の彼女は冷たい。いや、いつもこんな感じだが。
そんなところも好きなのだが。

「わーん!小吉さーん!」

ゆづるは嘘泣きしながら小吉の腕に抱きつく。
もう何年も鍛えている彼の腕は、とても太く逞しい。

「おー、よしよし」

小吉は優しくゆづるの頭を撫でる。
兄のように慕う自分を、彼もまたこうやって妹のように甘やかしてくれる。
だからゆづるは小吉が大好きだ。もちろん、言わずもがな一番の親友であるミッシェルも。

ゆづるはなんだか嬉しくなって、小吉の腕に更にぎゅっと抱きつく。
と、彼は一瞬硬直したあと、「あー・・・」と声を出して困ったふうに頬をかく。

「その、ゆづるちゃん?当たってるんだけどぉ・・・」

顔を少し赤く染めた小吉が言った。―――女が抱きついて当たるとしたら、一つしかない。
それはゆづる自身よく理解しているし、小吉相手に照れることはなかった。

「ふふふ。当ててんのよ、小吉さん!」

更に腕に絡み、彼をからかう。

「あのねぇ・・・」
「―――おい、ゆづる。そんなスケベジジイ放って置いて飯行くぞ。戻ってこい」

ミッシェルが手招きをする。

「はーい!」

ゆづるはぱぁっと顔を明るくして彼女の元へ駆け寄る。
そして小吉にしていたようにミッシェルの腕に抱きついた。やはり、彼女の隣が落ち着く。
まるで恋人のように密着して、ゆづるはミッシェルと共に歩き出した。



「・・・おじさん、ちょっと悲しい」

ゆづるとミッシェルの後ろ姿に、そう小吉は一人呟く。
けれども彼女達の嬉しそうな顔を見ると、まぁいいかと思えてしまうのだった。



2015.1.24