×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
【美人で天然ってほんとこわい】



「石切丸いるー?あ。太郎さんもいる!」

祈祷部屋を覗くと、ほぼ一日中ここにいると言っても過言ではないパッパと太郎さんの二人がいた。
なんだこのパワースポット。

「私になにか用かな?」
「どうも」
「ん。用っていうか、今短刀のみんなとかくれんぼしてるんだけどさ、ここに隠れてもいい?」
「あぁ、いいよ」
「ありがと!・・・まぁ、隠れるって言ってもここにいるだけなんだけどね」
「なら、立っているのもなんだし、座ったらどうだい?」
「あ、いいの?重ね重ねありがとー」
「いえいえ」
「じゃあ、お言葉に甘えて失礼します」

石切丸が椅子を出したくれたので、私は二人の間に座る。
大きな二人の間に座ると圧迫感もあるけど、それよりなんだか落ち着く感じがした。なんでだろ?不思議。
というか、二人とも良い匂いすんなあ。そういや歌仙も雅な香りするんだよなあ。

「あー・・・なんか二人といると落ち着くー・・・」
「はは、そう言ってもらえると嬉しいね」
「・・・落ち着く、ですか」
「うーん?私もこう漠然としていてハッキリしないんだけど・・・太郎さん風に言うなら神威が高まる?」
「ますます意味が分からないのですが・・・」
「私もです」

「―――恐らくだけど、私も太郎太刀殿も穢れを祓う力があるからじゃないかな」

私と太郎さんとで疑問符を飛ばし合う中、石切丸の穏やかな声が入ってくる。おっ神剣ゼミ開講かな?

「つまりは浄化される感じ?」
「そうだね。主はこのところお疲れだったようだし」

ぽんぽんと、石切丸が私の頭を撫でる。そこから、仄かに暖かいようなじんわりと良い気分が染みた。
温泉に浸かってるみたい。

「わぁ〜・・・ほんと落ち着く・・・」
「普通だったら逆に人間には神聖過ぎて滅入ってしまうんだけどね。主の魂は清らかだからかな」

「へぇ〜〜〜・・・・・・ん?え??清らか?」

「あぁ。とても清らかだよ。ねぇ、太郎太刀殿」
「・・・えぇ。俗世に身を置く人で、ここまで清らかな魂を持った者はそうそういないのではないでしょうか」
「なにそれ、初耳なんですけど」
「まぁ、自分では気付かないだろうねぇ」
「でも私、特別信心深いってわけでもないし、家が神社ってわけでもないけど・・・」
「信心深いから、家が神社だからといって清い魂を持てるわけじゃない。主のその魂は生まれ持った物だよ」
「・・・えっと、お父さんお母さんありがとう?」
「ふふ、そうだね。愛情を込めて育ててくださった父君と母君に感謝せねばね」

速報、私の魂は清らからしい。それによってなんのメリットがあるか分からないけど、汚いよりは良いし、
とりあえずお父さんお母さんありがとう。ありがとうが溢れてる。

しかし、粟田口派の脚を邪な目で見ている私でも魂が清らかなんて・・・こりゃもうわかんねぇな。
もしかして処女なのも関係してるのかなと思ったけど、流石にこれを口に出したら幾ら本丸の慈愛の父石切丸でも窘めて
きそうだし、太郎さんにはドン引きされてしまうかもしれない止めておこう。冷たい視線は宗三で慣れてるけどね!

「―――あぁ、なるほど」
「うん?どうしたの太郎さん?」

「いえ。私も主といるとなぜだか穏やかな気持ちになるのですが、清い魂故なのかと思いまして」

「太郎太刀殿、それを"落ち着く"って言うんだよ」
「これが、そうですか・・・・・・主?顔を覆ってどうしたのですか?」
「俗世の人間の風習なのでお気遣いなく!!!!」
「主は照れているんだよ」
「なぜ照れているのですか?」
「それは太郎太刀殿に「あああああああああ祓い給え、清め給えええええええ」・・・はは。全く、主は照れ屋だね」

「あ!声がすると思ったら!主君、見つけました!」

「秋田くん!!君を待ってた!!!!」



2015.9.19