×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
【鼻から茶ァ飲ましてやろうかと思った】


「やぁ、主」
「やぁじゃないよ・・・なに人の部屋で勝手にくつろいで勝手に人の茶飲んでるのさ・・・!」

トイレから帰って来た私が部屋で見たのは、人の部屋で勝手にくつろいで勝手に
人の茶(飲みかけだった)を飲んでるカテキンこと鶯丸だった。
・・・まぁ、百歩譲ってそれらの行為に目を瞑るにしても、内番をやっているはずの鶯丸がここで
のんびり茶をキメているのには青筋が立つのもしょうがないと思うんだよね、私。

「そこにあったからつい、な。馳走になっている」
「ついじゃない!ってか、馬当番はどうしたの!」
「ところでこの茶は主が自分でいれたのか?」
「お願い、せめてきちんと会話しようか・・・!」

なんで爺共はこうマイペースなんだ!思わず、助けて長谷部!と心の中で助けを求めると、
「主命とあらば!」なんていつもの元気な声が聞こえたような気がした。・・・・・・気がしただけだよね??

「で?この茶は主が淹れたのか?」
「え、うん。そうだけど」

「―――美味い茶だ。ぜひとも淹れたてを飲みたいものだ」

「・・・お世辞言ったって見逃さないかんな」
「世辞ではないのだが・・・そうだな、主が俺に茶を淹れてくれるのならば、内番をやろうじゃないか」
「言ったな?」
「男に二言はない」
「言質取ったかんな。よし!待ってろ、飛び切り美味いの飲ましてやる!!」
「あぁ、楽しみに待っている」





「―――はい、お待たせ。あと、みっちゃんがくれた御茶請けも」
「ありがとう。・・・で、それはどうした?」

鶯丸の言うそれとは、私の隣でにこにこ笑っている鶴丸のことだ。
炊事場で急に後ろから驚かせてきた鶴丸は、私の反応に楽しんだあと湯呑みを見て、
誰かと一服でもするのかと聞いてきたので話したところ、「俺も君が淹れた茶が飲みたいぞ!」と、
もはや飲む気満々で言い出し、付いて来たのだ。このビックリ爺さんは言い出したら聞かないし、
今更爺の一振りや二振り増えたとこでなにも変わらないので勝手にさせた。

「引っ付いて来た」
「主が茶を淹れてくれると聞いてな!」
「残念だ。せっかく主と二人きりで飲めると思ったんだが・・・」
「おっと!こりゃあ、ないすたいみんぐってやつだな!」
「別に一緒に飲みたかったらいつでも誘ってくれていいよ。・・・まぁ、鶯丸は内番ちゃんとやったらね」
「そうだぞ!やることきちんとやってからにするんだな!」
「鶴丸も人のこと言えないからね」

「―――せっかくの茶が冷めてしまうな。いただくか」
「あぁ、いただこう」
「都合が悪いことを無視するのは爺の特徴なの?」

「・・・うん。やはり美味いな」
「そう?歌仙とかみっちゃんの方が上手だと思うけど・・・」
「あいつらの茶も美味いが、主のだって充分に美味いぜ」
「自分じゃ分かんないなぁ・・・」

私も二人に習ってお茶を飲む。それはいつ通りの自分が淹れたお茶の味だった。やっぱ自分じゃ分かんないや。
首を傾げる私に、鶯丸はふっと笑う。うわカテキンパワーを感じる。

「主が俺の為に淹れてくれたから美味いんだ」

「・・・・・・確かに、『早よ飲んで内番やれやホーホケキョ』って思いながら淹れたしな」
「俺は鳴かないぞ?」
「ほんとに鳴かれても困る」
「ちょっと待った!主!俺の為にも淹れてくれただろう?」
「そうだね。『年相応に落ち着けよ』って思いながら淹れた」
「ふふん!残念だがその願いは聞けないな!!」
「うん。審神者知ってた」

なぜか胸を張る白い物体は置いといて、私は未だ茶を飲んでいる鶯丸に向き直る。

「―――鶯丸。お茶も淹れてあげたし、もう充分に休憩も出来たでしょ?馬当番に戻りなさい。戻ってください」
「はて。俺は"内番はやる"と言ったが、"馬当番をやる"とは言っていないぞ」

しれっと言った鶯丸に、私の中でぷちんとなにかが切れた。

「おい爺!とんちやってんじゃねぇーんだぞ!!」

「ははは。主、顔が般若のようだぞ」
「ははっ!君の表情はどれも実に面白みがあっていいなあ」
「長谷部!長谷部来て!!」

耐えかねて思わず長谷部の名を叫ぶと、流石の機動で数秒後には来てくれた。今日の誉はへし切長谷部くんです。



2015.9.17