【私の天下五剣がこんなにも可愛い】
「・・・もしかして私って大典太に嫌われてる?」「そ、そんなことはないです主君!ただ大典太さんは少し口下手なだけで・・・」「・・・そう??」
焦った様子の前田くんを見ると、取れそうなほどの勢いで首を縦に振る。
私が前田くんにこんなことを言うのは大典太とのコミュニケーションが上手くいってないからだ。
会話は続かないし、一緒にお茶をしてみても早々と立ち去って行ってしまうことが多い。
お喋りではないから彼の気持ちが分からないし、表情も変わらないから私をどう思っているのか分からない。
だからもしかして嫌われているんじゃないかとここ最近勝手に沈んでいる。
「山姥切も無口だけど顔に出るから分かりやすいし、大倶利伽羅もあんまり話さないけど
意思表示はハッキリしてるからさぁー・・・でも大典太はいまいち分からなくて。
だからしつこくし過ぎて嫌われたかなあって・・・」
「主君を嫌うだなんて絶対あり得ません!!」
「おう!?」
「す、すみません。つい声を荒げてしまって・・・」
「ううん、ちょっとびっくりしただけ」
私や大典太のことで一所懸命になってくれる前田くんの気持ちが嬉しくて私はありがとうを口にした。
前田くんはちょっと照れ臭そうに笑う。良い子だ。こんな良い子が身近にいる私や大典太は本当に幸せ者である。
「・・・僕は付き合いが長いからかもですが、大典太さんも割と分かりやすい方なんですよ」
「ここだけの話しなんですが───」と声を小さくする前田くんの次の言葉に私は耳を傾ける。
「大典太さん。主とお茶をしたとか、話しをしたとか僕やソハヤさんに嬉しそうに報告するんです」な ん だ っ て。投石兵の石を頭に食らったかのような衝撃だ。いや食らったことなんて無いけど。
でもさそれちょっと待ってちょっと待って。それさぁ、
「え、ちょ、可愛すぎない?」
後日。さっそく私は大典太を構い倒し、赤くなった顔を見て勝ち誇ったりするのであった。
2018.1.18