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【悪い刀じゃないんだけど・・・ないんだけどね??】



「うぐぐ・・・!あともうちょっと・・・!!」

私は背伸びをしながら唸る。
遠征帰りのお土産に歌仙が雅な風鈴を買ってきてくれたのはいいが、いざ付けようとしたら届かないという。
台?椅子??持ってくんのめんどい。

いい加減疲れたので、背伸びをやめて息を吐いた。

「ご主人様?」
「あ、亀甲」
「おや、素敵な風鈴だね」
「でしょ?歌仙がお土産にくれたの」

亀甲が私の手元を覗くと、風鈴はちりんと涼しげな音を奏でた。

「早速付けようと思ったんだけど、届かなくて・・・」
「それなら僕に任せてよ!」
「ほんと?じゃ、お願いしようかな」

満面の笑みで胸元を叩く亀甲に私は風鈴を手渡そうとするが、急に彼が視界から消えた。

「・・・なんで四つん這いになってるの」
「そりゃもちろん、ご主人様の台になるためさ!!さぁ、遠慮しないで乗って!!踏んで!!!!」
「そ、そんなSMまがいなことはしません!!亀甲が付けてくれればそれでいいのっ!」
「そんなぁ・・・!!残念だ・・・」

「でも、焦らしプレイだと思えば・・・」とか興奮気味で呟いている亀甲に私はつい引いた。
ヒエっ・・・涙目で頬を染めるんじゃないよ。
いやはや、見た目美青年でもとんでもないマゾヒストだというのを忘れていた。

とりあえず亀甲を立たせて、私は風鈴を手渡す。

「じゃ。今度こそお願いね」
「あぁ!任せておくれよ!位置はここでいいのかい?」
「うん」

私が背伸びしてもかすりもしなかった場所に、亀甲はすんなり届き、ものの数秒で取り付けてくれた。
やれば出来るじゃねぇか!ほんと、さっきのやり取りいらない。

ちりんちりん。亀甲が付けてくれた風鈴は風に吹かれて嬉しそうに鳴いている。

「ありがとう、亀甲」
「どういたしまして。ご主人様のお役に立てたのならば光栄さ」

にこりと笑った顔が綺麗で眩しい。白菊のごとく美青年〜〜〜!!
それから亀甲は更に笑みを深めて、

「僕が必要だったらいつでも呼びつけておくれ。喜んで台になるよ!!」
「うん。今度は他の人に頼もうかな」



2017.9.27