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【新婚さんじゃないんだから】



「なにかして欲しいこと?」

洗濯物を畳みながら、光忠は首を傾げる。

出陣だけでなく、家事でもめちゃんこお世話になっている彼にお礼がしたくて、
「なにかして欲しいことある?」と、私が聞いたのだ。

「うん。光忠への日頃の感謝がしたくて」
「感謝って・・・僕は自分が出来る仕事をこなしてるだけだよ?それに主は毎回きちんとお礼も言ってくれるじゃない」
「そりゃ、なにかしてもらったらお礼を言うのは当たり前じゃんか」
「当たり前、か・・・ふふふ。主のそういう風に考えられるとこ、格好良くて好きだなあ僕」

そう言って、光忠はふにゃっとした、柔軟剤でも使ってんのかってぐらいの柔らかい笑みを浮かべる。
格好良いのはお前だろ!いい加減にしろ!私は洗濯物を畳むのに集中する振りをして、光忠から視線を外す。

「・・・・・・ほ、ほんとに当たり前なだけだし。とにかく、なんかして欲しいことないの?」
「うーん・・・今だって、こうして一緒に手伝ってくれてる主になにかをお願いするのは気が引けるんだよねぇ」
「そう言われてしまうと私の気がすまない・・・」

「なんでもいいからさ」と私が強請れば、光忠は困った顔で洗濯物を畳む手を休めた。

「そうだなぁ―――あ、そうだ。じゃあさ、明日、僕出陣じゃない?
その時に、主にネクタイを結んで欲しいかな」

「え。そんなんでいいの?」
「僕にとってはそんなんじゃないよ。主にネクタイ結んで貰えるなんて嬉しいもの」
「だったら毎日結んであげるよ!」
「あはは、嬉しいなあ」
「でもさ、もうちょっとワガママでもいいんだぜ?」

「それじゃあ・・・・・・・いってらっしゃいのキス、とか?」

「は!?・・・はぁ!?」
「わお。主、顔真っ赤。可愛い」

光忠がくすくす笑って私をからかう。いや、それよりそんな言葉どこで覚えてきたの・・・
とりあえず、自分で言っといてなんだがキスの方は勘弁してもらった。



2016.2.28