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【みんな、お揃い】



「加州っ!大和守っ!」
「主じゃん。どうしたの」
「主っ!?」

畑仕事をしている加州と大和守へ声をかけると、少し土で汚れた顔を大和守が見せる。
けれど、加州の方はなぜか悲鳴に近い声を上げたかと思えば、私と視線を合わせないどころか、
両手を後ろに回して慌て始めた。審神者軽くショック。

「いや、二人のお手伝いに来たんだけど・・・加州はどうしたの?」
「手が汚れてるから主に見られたくないんだよ」
「畑仕事やってれば汚れるのは当然だと思うけど・・・」
「そうそう。ほんとそうなんだけど、言っても聞かなくてさぁ」
「加州、大丈夫だって、」
「み、見ちゃ駄目っ!」

加州に近づいてみたものの、彼はいやいやと私が近づいた分下がってしまった。
それを見た大和守が酷く呆れた様子で溜め息を吐く。

―――加州は綺麗好きでお洒落好きだ。
でも、ただ好きというからじゃなく、加州自身が"綺麗にしてなきゃ捨てられる"なんて
一種の強迫観念に囚われているのもあるのだと思う。

私は少し考えたあと、両手を地面に擦りつけた。

「え、主?」
「あ、主!汚れちゃうって!」

不思議そうにする大和守と、私の行動に更に慌てふためく加州の声を聞きながら、
私はこれでもかというぐらいに手を土まみれにする。あ、やばい。なんか楽しいな。
久々の土いじりを楽しく思いながら、充分に汚れたところで私は加州に向けて笑いかけた。

「ほら、加州。私の手も土まみれ!お揃いだよ」
「!・・・お揃い?」
「うん。お揃い、お揃い」
「・・・・・・えへへ、お揃い」

加州はやっと自分の手を見て、はにかむ。うわ、天使かよ。守りたいこの笑顔。
はにかむ加州に、私も口元を緩めていると、穏やかな笑顔を浮かべてこちらを見ている大和守が視界に入った。
私は大和守を呼んで手を出させる。そうして加州、私、大和守の土にまみれた手が並んだ。
打刀の中では小柄な方である彼らだが、やはりこう比べるとしっかりとした男の人の手をしている。

「―――うん、みんなお揃いだ」

なんだか嬉しくて笑えば、加州も大和守もとびきりの笑顔を見せてくれた。
それは空に昇った太陽と重なってきらきらと輝いていた。



2015.11.27