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【饅頭はお預けになった。解せぬ】



いつもながら、ピシッと真っ直ぐに伸びた背中を廊下で見つけた私は、そぉっと近付いて肩を叩く。

「はっちすか!」
「なんだい主、」

ぷにっと、振り向いた蜂須賀の頬に私の指が埋まる。おぉ。美人は肌も綺麗なんだなあ。

「・・・はぁ。全く、君は子どもだな」
「そりゃ、子どもだからね!しょうがないね!」
「で?俺になにか用事が?」
「んーんー・・・特にこれといって用は無かったんだけど、蜂須賀の姿が見えたからさ、へへ、」

なんとなく気恥ずかしくて誤魔化すように私が笑うと、蜂須賀はきょとんとしたあと、

「―――そう、か」

と、目を細めて笑った。真作の力がありありと滲み出ている綺麗な笑みだ。

「・・・あ!用事なら今出来た!!」
「作ったの間違いじゃないか?」
「とにかく主命だよ、ハッチ!私とお茶しよう!そうしよう!」
「こらこら。俺の意見は無視かい?」
「え、蜂須賀なんか用事ある?もしくは私とお茶するの嫌?」
「・・・用事もないし、主とお茶をするのが嫌なんて以ての外さ」
「じゃ、いーじゃん!行こ行こ!」
「分かった、分かったからそんなに袖を引っ張るのはよしてくれ」





「―――主は、兄弟は仲良くあるべきだと思うか?」

一緒に縁側に並んで、お茶をしながら話していたら、ふと、蜂須賀がそんなことを言った。
いつもの調子の声とは裏腹に、その表情はどこかぎこちない。
あー・・・周りから仲良くしろとか言われたりするんだろうなあ。

「そりゃあ、仲良いにこしたことはないけど・・・絶対ってわけじゃないし」
「でも、粟田口はみんな仲が良いだろう?」
「―――粟田口は粟田口だよ。蜂須賀は粟田口じゃなくて虎徹でしょ?それも真作」

そう言って、ぽふんと蜂須賀の肩に拳をぶつければ、彼ははっとした表情を浮かべたあと、やんわり微笑む。
うん。やっぱり美人は笑顔が一番。

「―――あぁ、そうだ。俺は虎徹の真作だ」
「そんでもって、私の大事な一振りの一員」

私がそうニっと笑うと、蜂須賀もとても嬉しそうに笑ってくれた。ちょっと頬が赤いのは照れているのだと思う。

「・・・・・・主。良かったら饅頭一つ食べるかい?」
「え、いいの?やったー!・・・あ!でも、歌仙には内緒にしてね!夕餉の前にあまり食べるなって小姑みたいにうっさいから!!」

「―――誰が小姑みたいだって?」
「あっ・・・」

これは夕飯前にお説教みたいですねぇ・・・



2015.11.24