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我が愛しの原石の君  





佳奈子が、寝ている。

至極普通なそれがミカサには珍しかった。
そんなに寝ない、寝れない体質らしい彼女は、就寝時間になって床に就いても、なかなか寝れないことをミカサは知っている。

ふと目が覚めて佳奈子の顔を見ても、ただ目を閉じているだけで、起きているという感覚がミカサには分かった。
普段の佳奈子の、大人びていて落ち着いている雰囲気が全く変わらないからだ。

そして起床する頃には、彼女はもうミカサより先に目を覚ましているから、佳奈子の寝顔を見るのは実に新鮮だった。
だからつい、じっと観察してしまう。もしも彼女が起きていたのなら「そんなに見られたら恥ずかしいよ」と、
ミカサの心をほっとさせてくれるあの微笑みを向けてくれるのだろう。

少し開いた唇から小さな寝息が聞こえる。鼓動と同じで規則正しいそれは、佳奈子がここに存在していて確かに
生きているのだとミカサを安心させてくれた。

大人びた言動の多い佳奈子の寝顔は、案外あどけなくて子どもらしい。
普段見せない子どもの部分が、ここに凝縮させられているように思えた。

いつも隣で寝ていても、どこか遠かった彼女。だが、今日はこんなにも近くに感じられる。
佳奈子の頬にかかった髪を除けてやりながら、ミカサは妹の眠りを見守る姉のように微笑した。

「おやすみなさい、カナコ」



2014.3.12