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絶対正義のブラスインゴット  




ユミルが夜直の見張り当番で、今日の夜はこのベッドにクリスタ一人だ。

「私がいないからって泣くなよー?」
「そ、そんな子どもじゃないもん!」

ユミルが行く前そんな会話を交わし、強がってはみたが・・・。やはり寂しい。

佳奈子はどうだろうか。
ふとクリスタは、現在下のベッドで寝ているだろう彼女を想った。
ユミルと見張り当番に出ているのはミカサだ。佳奈子も今日の夜はクリスタと同じく、ベッドで一人きりで過ごすのだ。

寂しくないだろうかと思ったが、大人な佳奈子だ。きっと自分とは違うのだろう。
むしろミカサの方が寂しくてしょうがないだろうと考えて、クリスタはくすりと小さく笑った。
普段からミカサは雛が親鳥について行くように佳奈子にべったりだ。
そんなミカサを優しく受け入れる彼女もまた、親鳥さながら。

そうか、今日はミカサがいないのだ。―――これは滅多にないチャンスではないだろうか?
そこまで考えてから、私ったらはしたないわ!とクリスタは自分を戒めた。

しかし、だ。チャンスどうこうは置いとくとして寂しいのは事実。
・・・一緒に寝て欲しいと頼んだら佳奈子はそうしてくれるだろうか。いいや、優しい彼女のことだ。
断るなんてしないはず。だからこそ迷惑だと思われないかがクリスタは心配だった。
彼女に嫌われたくはないのだ。

「あの、あのねっ、一緒に寝てもいい・・・?」

けれどそんな佳奈子の性格のおかげで、クリスタは結果的に彼女と同じベッドにいた。
佳奈子にどうこう思われる以前に、利用して、自分の為だけにそうしてしまった。だが後悔は無い。
きっとこの先、こんな機会なんてないだろうから。

ドキドキと忙しなく動く心臓が自分でも聞こえる。目が覚めてしまったクリスタは隣の佳奈子に視線を移す。
佳奈子は目を閉じていた。同じベッドに入ってどれぐらい経ったか分からないが、もう寝てしまっただろうか。

同じ身長なだけあって誰よりも距離が近かった佳奈子だが今日はより一層近い。
こうして見ると、自分とは顔立ちが違うのがよく分かった。ミカサもだが、東洋系とは神秘的な魅力がある。

キメの細かい肌をしている。そういえば肌が綺麗で羨ましいと、風呂場で佳奈子が言われているのを何度か目撃したことがあった。
睫毛は、適度な長さの物が綺麗に揃っている。少し薄めの唇は赤い。クリスタは素直にこう思った。

なんて、なんて彼女は綺麗なんだろう。

いつだったか教会で目にした聖母のようだ。誰よりも優しく、みんなから慕われる彼女は正に聖母そのもの。
クリスタはもっと近づいて触れてみたい衝動にかられた。が、しなかった。清浄な佳奈子に穢れた自分が触れるなど許されないことだ。
きっと、こうして眺めているだけでも許されない。

けれど聖母は、その慈悲の心を持って笑うのだった。

「クリスタ、そんなに見られたら恥ずかしいよ」



2014.1.1