【残暑】





沸騰するような暑さの中、ベッドのスプリングが甲高い悲鳴を上げる。昂った熱に腹の奥まで満たされれば、力を込めた指先に絡んだ白いシーツが緩い波紋を作って。

「く…っシシ、ド…!」

荒い息遣いの合間に卑猥な音が混ざり、耳から脳まで犯される。ゆるゆると揺すられるもどかしさが理性の糸をじりじりと焦がし、救いを求めて伸ばした左手が湿った空気を掻いた。

「はっ、ぁ…っ」

脇腹に食い込む男の指がゆっくりと肌の上を這い、そこから広がる新しい快楽にじわりと視界が滲んだ。
触れられてもいない胸の頂が痛みを伴うくらい張り詰めているのがわかる。気付いているくせに触れようとしないのは焦らしているのか、俺を追い詰めて遊んでいるのか。
だが、そんなことは、どうでもいい。今はただ、この気が狂ってしまいそうなほど甘い底無しの沼から抜け出したい。
彷徨わせていた手で男の細い腕を掴んでから無理矢理視線を絡め、掠れた声で男の名を紡いだ瞬間、びくりと背を震わせたシシドが一気に腰を引いた。

「ひあっ!?」
「っ!」

目の前で光が明滅する。腹の上に感じる違和感から自分が達したのだと理解するまでに暫く時間が掛かった。
まるで震えているように小刻みに続く痙攣が止まらず、口から零れる吐息は己の意思とは無関係に弾んでいる。
ふと耳に入る呼吸音が自分の発するものしか無いことに気付き上に目を向ければ、今まで俯いて呼吸を止めていたらしいシシドが長い息を吐いてから顔を上げて。

「っぶねーなぁ、俺までイっちまいそうになっただろーが」

不機嫌そうな声色で艶やかに笑みを浮かべる男のこめかみから一粒の汗が流れて頬を伝う。そのまま顎に辿り着いた玉がぽたり、と胸の上に落ちた。
間接照明の淡い明かりを背負ったシシドが赤い舌で唇を湿らせ、額に貼り付いた前髪を掻き上げる様の、その凶悪的な色気にぐらりと目眩がした。





END.
20121004
--------------------
ツイッターで呟いたものに色々盛ってみた。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -