プレゼントはエロ本で 1
「やっべ、どうしよ」
5月31日。
今日の朝、阿伏兎の一言で全てを思い出した。
『6月って言えばよォ、明日は団長の誕生日じゃなかったか?』
『…は?』
おいおい、まじでか。今の今まで素で忘れてたよ。
部下の身としてはスルーする訳にはいかないじゃん。
何かプレゼントを用意するっつっても、昨日地球に行って数時間前に帰ってきたばっかだし。
…やっべ、どうしよ。
「プレゼントは食べ物関係はナシにしたいよね」
"団長へのプレゼント=食べ物"っていうのは飽き飽きだし、阿伏兎あたりが用意してしまいそうだからパス。
だからといって花束とか、アクセサリーはダメ。
団長にそんなモン渡しても「何これ?」なんて聞いてくるに決まってるから。
「食べ物の他に、団長が喜びそうなプレゼントか…」
ちゃらんぽらんなあの人が好きな物といえば、浮かばない事はない。
でも、それらがこの春雨艦船内にあるのかっていうのが問題だったりする。
結構フリーダムに見られてそうだけど、一応ここ宇宙だし。春雨だし。
「――あ、そうだ」
一つ思い浮かんだ。
宇宙だろうが地球だろうが男が存在する限り必ずあるであろう代物。
"エロ本"。
「よしっ、それにしよう!」
――――
翌日。
「団長、誕生日おめでとうございます」
団員達の部屋を探して失敬したものを4〜6冊持って団長の元へ。
やっぱさすがだよね。
天人でも男ならエロ本は持ってるものなんだよ、うん。
「私が厳選したエロ本をまとめてみました!」
「…へえ、気がきくじゃない」
「でしょう?やっぱ男ならこれかと思いまして」
「オマケとして君の身体がついてくるなら大満足なんだけどなぁ」
「ははは、んな事ある訳ねーでしょう」
「ちぇー」
団長の机を見てみれば阿伏兎がよこしたであろう地球の食料の山が。
よっしゃ大正解。
「そういや団長って、歳いくつになるんですか?」
「う〜ん…忘れた」
「は?」
「忘れちゃったよ歳なんて。覚えてても得しないしね」
「女みたいな事言いますね」
「老けるだけだしね、誕生日なんてさ。
まあ設定上は歳取らないんだけど。あはは」
あまり言っちゃあいけない事をさらっと…。
「あ、団長」
「うん?」
「エロ本、読み終わったら私にも読ませて下さい」
「…君って本当に女?」
団長が生まれてピー年がたちました。
誕生日、おめでとうございます。
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