【花京院と過ごす夏】
※時代背景を華麗にスルー
昼間ほどではないけれど、夕方も蒸し暑い。
「あーもう!いくら課金したと思ってんのッ!?」
握り締めたスマートフォンに向かって叫ぶと、少し間を空けて隣を歩く花京院が、ちらっと私を見て苦笑いした。
「運だからね、そういうのは」
花京院が、自分のスマートフォンの画面に視線を戻しながらさらりと言う。
「いいよねー、花京院は。無課金なのに一発でダブルスーパーレア当てちゃってさ」
「たまたまだよ。運がよかっただけさ」
「その運わけてもらいたいよ、ほんと……」
課金したいがためにアルバイトを始めて、アルバイト代をほぼこのゲームアプリのために使っている。それくらいこのゲームが好きだっていうのに。
「神様は残酷だ……あんまりだぁ」
「そんな、大袈裟な」
肩を落としてうなだれる。また花京院が苦笑いしているのが分かった。しょうがないじゃあないか、悲しいんだから。
「アイスかなにか奢るから、元気出してくれないかな」
思わぬ発言に、弾かれたように顔を上げる。奢りだって!
「出す!元気出す!やったー!アイスッ!」
スマートフォンをしまって、ちょうど近くにあったコンビニへと駆け込む。後ろで「やれやれ」と声が聞こえた気がした。
150713
(友達以上恋人未満、下校中のひとコマ的な。夏要素ほぼゼロですが;)
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