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夢なら (真柳 R-18)




付き合っている人がいるのに、性欲の捌け口が自慰だなんて悲しくなる。
こうして空しさに苛まれる夜は、何度目だろうか。
弦一郎は傍にいないのに、徒に名前を呼んで頭頂まで空しさに浸かる、その行為が、いつしか自慰にすり替わっていた。

弦一郎に好きだと言えば、確かに彼もそう返してくれるだろう。
けれど、彼は決して俺に触れない。
手を繋ぐことすらしない。
一年間、何の進展もないのだ。
これ以上の関係など到底望めないことは分かっている筈、なのに。

「げん、いちろ、っ…」
自慰に耽り、乱れる息の合間を縫って切れ切れに名前を呼んだ。
「ひぁっ、やだぁっ…そこ、ば、っか…」
もうとっくに勃起した陰茎の亀頭を何度も指で刺激し、もう一方の手で胸をまさぐる。
快感を生み出す手に、まともに触れたことさえない弦一郎の手の感触を重ねた。
「ぁあっ、や、ぃ、イきたいっ…!!」
そうやって、わざとらしく自分を焦らすことも覚えた。
「いれてっ…げんいちろ…の…欲しいっ…」
誰も何も答えない。それが常になった。
脚を大きく開き、慣れた行為に走った。
先走りがまとわりついた指を蕾に挿入していく。
それにはまだ痛みが伴う事実に、小さく安堵した。
「ぁ、ぁあ…」
指を奥まで入れ、前立腺を指先で掻く。
「んぁあっ!!はあっ…も、っと…してっ…!!」
指を激しく動かすと、内壁がギュッと締め付けてきたのが分かった。
その感覚を覚えた身体が跳ねる。
「ひっ…んっ、…いくっ…!!」
自然と腰が揺れ、物欲しさに乳首を指で抓って絶頂を手繰り寄せた。
「やっ、も、らめぇっ…イくっ…ふぁっ…あぁ、ぁああっ!!」
射精し、身体がビクンと痙攣する。
はだけた胸が、白濁に汚れた。

暫く経ってから身体を起こし、ぐちゃぐちゃになった布団に目をやる。
我に返って泣きたくなった。


end



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