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そして同じ結末を (赤柳)




「ダメっすよ、もう逃がさない」
「あ、赤也っ…」
部活が終了した後の部室で赤也に迫られ、俺は上擦った声を上げた。
「部室だぞ…っ」
「関係ない」
「そんな…っ!!」
そんな、理不尽な。
そう言おうとしたが、言葉にならなかった。
「柳さん」
「っ…」
耳元で響く声に、体が小さく跳ねる。
赤也の手が、俺のジャージのファスナーに掛けられた。
「いいッスよね?」
そう意志を問われても、一つの答えしか口にできない。
それを知っていながら尋ねるとは、何処まで意地が悪いのだろう。
「柳さん」
さっきと同じように呼び掛けられ急かすような視線を感じる。
少しくらいこちらが意地悪をしても、罰は当たらないだろう。
「……嫌だ」
本当は、嘘なのだけど。
「もう一回言って」
「…っ、や…」
耳の近くで喋られ、掛かる息のくすぐったさに顔を俯かせた。
「本当に嫌?」
「…ん…っ」
「答えて」
さっきより強く意志のこもった声に、肩が僅かに反応する。
「なんだかんだ言っても嫌じゃないんでしょ?」
「…嫌、じゃ…ない」
「いい子にしてて下さいよ」
赤也はすっかり俺を丸め込んで、満足げに笑う。
やはり、俺はただ頷くしかなかった。


end



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