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夜明け前(R-18)




「ねえ、ねえ」
「んんー…まだ、」
まだ日も昇らない午前三時。
急に目を覚ました精市に肩を叩かれ、目を覚ました。
「れーんじー…」
「せ…いち…」
横向きの体を仰向けにすると、精市の顔が至近距離にあった。
「近い…」
「蓮二?」
「寝かせてくれ…」
昨晩も情事に没頭して夜を明かしてしまった為、体が限界に近い。
精市に剥がされて足元にまとわりつく布団を被ろうともぞもぞ動くが、彼の脚がそれを阻んだ。
「…蓮二、汗かいてる」
「…ぁ、っつ…」
「でも、いい匂い」
「…や…や、め…」
精市が俺の項に顔を近付けてくる。
首筋を撫でる息がくすぐったい。
眠気が少しずつ、でも確実に削がれていく。
「俺、蓮二のこと好きだよ」
昨日も耳にした言葉だ。
「蓮二は?」
こうやって答えを求められるのも、昨晩と同じである。
「……好き、だ」
「うん」
知ってる、と言った精市の鼻先が俺の鼻にこつん、と当たった。
「…精市…」
覚醒してきた脳で、今の状況を考える。
唇が触れそうなほど近い距離の上、両手首を精市に掴まれている。
「つっかまーえた」
逃げ場がないという事だけが分かった。


「っう…はぁっ…」
「痛くはないでしょ?」
熱気が立ちこめる部屋に精市の声がやけにはっきりと聞こえ、止むことのない粘着性の音が更に性感を煽り立てていく。
蕾の中を掻く精市の指先が前立腺を突く度、敏感さを増した体は反応を示した。
「あっ、あぁっ」
「じたばたしない」
無意識にびくびくと動いていた脚を持ち上げられ、膝裏から抱えるよう指示された。
「んあっ…」
「そう、そんな感じ」
「せ、精市っ…」
求めるような声で名前を呼ぶと、「分かってるから」と笑顔が返ってきた。布が触れて擦れる音がする。
俺は、精市に性器を晒すようなこの格好に外聞の悪さを覚え、ああ言ったのだ。
彼は意味を履き違えている。
そう気付いて蕾に宛てがわれたものに違和感を覚えたときには既に遅かった。
「っん、くぅっ…!!」
狭い中を裂いて入ってくるものの圧迫感に眉をひそめる。
「脚、開いて」
「ぅ…はぁっ…」
さして状況が変わらないなら同じだろうと、言われるがままに脚を広げた。
精市が少し荒い息を吐き、腰を動かして蕾の奥まで自身を進めた。
「あっ、ひぃぁっ…」
「っ、蓮二…」
精市が覆い被さって肌が密着し、顔に掛かった彼の髪がくすぐったい。
「ぁ、ンンッ…」
ゆっくりと陰茎が抜き差しされ、内壁と擦れて生じる快感に思考が侵されていく。
互いの息が掛かる距離のままで律動は続いた。
「っひ、あっあっ…」
「ああ、もうこんなにしちゃって」
「やっ…ぃやだぁっ…」
上を向いて透明な液体を流す性器に精市の視線が行き、羞恥のあまり否定するように首を振った。
けれど同時に蕾がきゅっと狭まったのを自分で感じ、それが悟られないことを祈った。
「見られるのも好き?」
そう言って間もなく精市は律動の速度を上げる。
極端に引いては奥まで挿入する行為が幾度となく繰り返され、段々と声が甲高くなっていく。
自分のこのような声が聞こえるのなら、いっそのこと聴覚を奪い去ってほしい。
けれど精市は、この声が好きだと言うのだ。
「んあっ、やっ…ひあ、ぁぁあっ…」
「かわいいよ、蓮二…」
「ふ…、あっ、んあっ…!!」
動く度に精市の腹部に陰茎が擦れ、そこから快感が生まれていく。
蕾が窄むように性器を締め上げ、それに逆らうように精市は体を揺すった。
「っは、いゃ、ひぅあっ…!!」
「っ、見て、蓮二」
「ん、ぁあっ…み、えるっ…」
精市につられて上体を起こすと、股の間から結合した部分が見えた。
「れ…じ…蓮二…」
「ふぁ、あ…せぃ、ち…ぁあっ…!」
何度も名前を繰り返す。
繋がっているところを目の当たりにして、そこから目が逸らせなくなった。
汗が噴き出して鼓動が速まる。
更に興奮を覚えて陰茎は先走りを流し、後孔の内壁はひくひくと震えて縮まった。
「っ、ねえ、いきたい?」
「ンあっ…も、むりぃ…ぃ、ていぃ…?」
「良いよ、イって」
前立腺を抉るように突かれ、思わず布団を握り締める。
「やっ…ぁ、ああぁぁあっ…!!」
不意に大きく体を揺さぶられて射精し、どろっとした精液が二人の下腹部を白く塗った。
「蓮二…っ」
蕾が強く陰茎を締め付けたのに耐え兼ねたのか、彼も中で精を吐き出す。
まだ真っ暗な部屋を、乱れた息が埋めた。

end



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