main | ナノ
小さき邂逅 (仁柳)




「仁王…」
何処にもいない。
屋上、部室、教室。
思い当たるところは見た。保健室にもいない。
どうしたものか。
仕方なく自分の教室に戻ると、放課後で誰もいないはずのそこに、彼を見つけた。
「仁王…」
教室の入り口から声を掛ける。
でも俺の席に座っている彼には届かなかったようで、ピクリとも反応を示さない。
寝ているのだろうか。
近づくと、机に突っ伏している仁王の寝息が聞こえた。
屈んで、起こさないように顔を近づける。
仁王の睫毛が僅かに揺れた。
そう思った直後、閉じられていたはずの目と視線が重なる。
「…何してるんじゃ、参謀」
「仁王っ…」
「寝込みでも襲う気じゃったんか?」
冗談めかして言う仁王。
「…お前を襲ってどうする」
「あー、確かに参謀は喰われる側じゃな」
そう言って彼は小さく笑った。
笑い事じゃない。


end



Novel
Site top


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -