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月光(R-18)




電気を落とした浴室を照らすのは、小さい窓の先に見える月しかない。
僅かな明かりに蓮二の白い肌が浮き上がり、彼の喘ぐ声が矮小な個室に反響した。
「あっ、はぁっ…やだぁっ…!!」
「誘ってきたのはお前だろう」
その癖に抵抗するのは道理が違う。
所詮は形だけの抵抗を見せる蓮二の性感帯である耳に唇を触れさせて言うと、その細い体がビクンと震えた。
苦しそうに蓮二が眉を顰めて呼吸を乱す様に小さく笑う。
何故こんなにも扇情的で白いのだろうか。
彼の興奮している性器には触れず、胸や首筋に緩慢な刺激を与え続ける。
するともどかしさで蓮二の腰が揺れていたのが分かった。
「んっ、はぁっ…弦一郎っ…」
「何だ?」
「っん、やだっ…い、れてっ…」
甘える様に擦り寄ってねだる蓮二の後孔の辺りを探る。
何か言いたげに開閉するその唇に、もう一方の手の指を這わせた。
「蓮二」
「んっ、ぅうっ…」
蓮二の口内を弄る指に唾液が絡みつき、顎を伝って湯の中に紛れる。
少しずつ後孔に指を埋めていくと、呼吸で蓮二の胸が幾度も上下する。
火照った彼の肌が密着し、距離を無くした。
二人の内どちらかが動くたびに揺れる水面に、不完全な形の月が映っている。
月光の下で情交に耽るうちは、まだ、夜は明けないだろう。


end



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