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予 (真柳)




弦一郎ほど、バレンタインと無縁な奴はいないだろう。
貰えないんじゃなく、貰わないのだけど。
それでも、何かしてやった方が良いのだろうか。
「…精市…」
「蓮二?」
「…バレンタインの話なんだが」
「真田のこと?」
「弦一郎に、何をしてやれば喜ぶんだ?」
すると、精市の肩が震え始め、間もなく笑い声が聞こえてきた。
「蓮二、それ、真田も同じこと俺に言ってきたんだけど」
「え…?」
「だから、何もするなって言っておいたよ」
どうせ蓮二が何しようか考えてそうだったし、と精市が言葉を継ぐ。
「…でも、何を…?」
「ヤらせてあげれば」
「せ、精市…」
「あー、でもそしたら蓮二が部活休む羽目になるか」
「…弦一郎、それで喜ぶのか?」
「俺が真田なら喜ぶね」
「…分かった」
やれやれ、とでもいった風に笑う精市を残し、俺は部室を後にした。


「…弦一郎」
「蓮二、どうした?」
「なんでもない」
弦一郎に後ろから抱きつくと、少し驚いたような反応をされた。
「…好きだ」
「ああ」
「弦一郎…」
「…止まらなくなるぞ」
「いいよ」
そう言って小さく笑うと、その途端に押し倒される。
弦一郎の表情に余裕が無さそうだった。
「蓮二…」
「…んっ…」
首筋に吸い付かれ、弦一郎の手に服をはだけさせられた。
ベルトも緩められ、ズボンも中途半端に脱がされる。
「ふぁっ…ん、弦一郎っ…あた、ってる…」
「…お前のせいだろう」
蓮二、と耳元で呟くように呼ばれ、体を捩った。
「はあっ、ああんっ…」
上から覆い被さる弦一郎に抱きつくと、性感帯なのを知ってか、耳に舌を挿し込まれて舐められる。
そしてその翌日、精市の予測通りに俺は部活を休む羽目になった。

end



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