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驚嘆 (真柳)




弦一郎に、メールをした。
深夜0時にあわせて。
早寝早起きの彼からすれば、真夜中にメールなど迷惑以外の何物でもないだろう。
それでも、もしかしたら起きているんじゃないかと考え、送信ボタンを押したのが1月1日午前0時。
俺の携帯が鳴ったのはその5分後だった。
「…もしもし」
「蓮二か。夜中にどうした?」
鈍感すぎる弦一郎の一言に頬が緩む。
「メール、見てくれたか?」
「ああ。元旦だというのは分かるが…その、何故、夜中に…」
「…嫌だったか?」
「いや、そんなことはない」
「弦一郎に…一番最初に伝えたかったんだ」
だから日付が変わってから誰とも喋っていないと言うと、
「蓮二…お前も随分可愛いことをするのだな」
と言われた。
「げ…弦一郎…」
「照れたのか?」
電話越しに聞こえる弦一郎の声が鼓膜に響き、頬が熱くなってくる。
「蓮二」
「…何だ?」
「今年も宜しく頼む」
「…先を越されたか」
「残念だがな」
「…弦一郎」
「何だ?」
「大好きだ。弦一郎が好きだよ」
すると、意外だったのだろう、彼が小さく息を呑んだのが分かった。
「…先を越されたか」
さっきの俺と同じことを言う弦一郎に
「残念だったな」
と返せば、機械を通した向こう側で優しく笑う声がした。


end



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