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ふたり (幸柳)




クリスマスだ。予定はない。
夕方まで部活があっただけだ。
「暇だなー」
隣で不満そうな声を上げる精市。
「そうだな」
部活でクリスマスが潰れるのが勿体無いと言い出した彼に連れられ、俺は精市と二人で街を歩いている。
「カップルばっかり」
「・・・そうだな」
精市の言うとおり、イルミネーションが施された夜の道を歩くのは、カップルばかりだ。当然、男女の。
「・・・そういう意味で言ったんじゃないよ?」
「分かってる」
「本当に?いいんだよ、俺には蓮二がいるから」
マフラーに隠れた口では喋らずにコクリと頷くと、精市が笑った。
思わず、口元が緩む。
「蓮二」
「ん?」
肩を叩かれて横を向くと、頬に指の感触。
人差し指を俺の頬に指した精市が、笑いを堪え切れないといった顔をしている。
「可愛いー」
「・・・精市」
「ほっぺ真っ赤だよ、蓮二」
「・・・寒いんだ」
「じゃあ家来る?」
蓮二の家より近いし、と言った精市に、俺は小さく頷き返した。


end



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