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無神論者




神様なんていないんだよ。



「精市が言うと、説得力があるんだか無いんだか分からないな」
蓮二が困ったように笑いながら言った。
「そう?何で?」
「…神の子」
予測はしていたけど、あまり聞きたくない単語が彼の口から紡がれる。
「やだなー、その名前」
読みかけの本を置いた蓮二の膝に頭を乗せると、彼と目が合った。
「精市…」
何かを言おうとしては止める蓮二。
反応に困ってるんだろう。
「別に俺の親は神様じゃないよ」
ただの一般人だよ。そう言うと、蓮二の唇が微かに開いてまた閉じたのが分かった。
「今の、真田なら笑ったかな」
「さあ」
本を置いたことで行き場を失った蓮二の手を掴むと、彼の肩がピクッと跳ねる。
「手、冷たいね」
「…精市も冷たい」
「手が?」
「手も、だ」
「傷つくよ」
「まさか」
蓮二を見上げると、淋しそうな笑顔が目に入った。
「そんな顔しないでよ」
「…精市がさせた」
幼い子供のような蓮二の口調が最後、俺は目を閉じた。


end
短い;;
最短記録更新。



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