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災難 (仁王誕生日)




「仁王・・・」
「参謀ー?」
屋上で惰眠を貪るサボり魔・仁王雅治。
「こんな寒い中、よく屋上にいられるな」
彼の隣に腰掛けると、立ち上がった仁王に後ろから抱き締められた。
「蓮二」
「にっ、仁王・・・」
「寒いからのう」
「・・・俺は低体温だぞ」
「俺もじゃ」
低体温の二人が寒空の下くっついた所で何の足しになろうか。
それでもないよりはましじゃ、と仁王が笑った。
「もう12月か・・・」
話が途切れ、一番どうでもいいであろう話を振ってみた。
しかし、それが間違いだった。
「12月といえば何じゃ?」
「え?」
「じゃから、12月といったら?」
期待を込めた目線を背後に感じ、言葉に詰まる。
思えば、今日は12月4日だ。
仁王の誕生日。
忘れていた訳ではないけれど何をしていいか分からず、散々考えた挙句に何も用意できていないという大失態。
「く・・・クリスマス?」
「・・・それだけかのう?」
「・・・大晦日、冬休み、期末考査―」
「蓮二」
「・・・・・・誕生日」
「誰の?」
「・・・仁王」
「正解じゃ」
「・・・何もないぞ」
「知っとる」
「え?」
後ろから抱き締められ、首筋に仁王の髪が触れてくすぐったい。
「何していいか分からんままなんじゃろ?」
「・・・知ってたのか」
「幸村から」
「ああ、そうか」
なんだか申し訳ない気持ちになってくる。
それで仁王に謝ったら、「一つ、何でも言うことを聞いて欲しい」なんて言われてしまった。


「仁王・・・」
「何もないんじゃろ?」
「・・・何をすればいい?」
「プリッ」
そう言って笑う仁王。
悪寒が走ったのは、吹き抜ける木枯らしのせいだけでは無かった筈だ。


end
遅くなってすいません。
おめでとう仁王。
柳さんがどうなったかは皆様の想像に委ねます



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