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抱いて眠って最後に笑う(R-18)




柳さん、好きっす。
そんな赤也の言葉を、少しぼうっとする意識の中で聞いていた。
まだ体は重く、行為の痕跡を残している。
赤也が見える上の方へ腕を上げると、優しく手首を掴まれた。
温かい手に頭を撫でられ、心地よさに眠ってしまいそうだ。
「赤也…」
「痛くないっすか…?…すいません、加減できなくて…」
不安げに俺の顔を覗き込む赤也のこの顔を、もう何回見ただろうか。
その度に大丈夫だと言っているのに、赤也はまた同じ質問をするのだ。
けれどそれも、俺を思ってくれているからこそなのだろう。
大丈夫だと返し、赤也の首へ手を回した。
「や、柳さん?」
柔らかく不安定なベッドの上でバランスを崩したのか、赤也は俺の上へ倒れ込み、唇が触れ合うすんでの所で手をついた。
「…どうかしました?」
目を丸くした赤也が問う。
その声音から、彼が戸惑っているのを何となく感じた。
「いや…なんでもない」
それでも腑に落ちない様子の赤也が幼く見えて、笑みが漏れる。
「…柳さん」
至近距離で呼ばれ、頬からすっと笑いが引く。それと同時に、耳が熱くなった気がした。
鼓膜を揺らす彼の声に、俺はめっぽう弱いのだ。
「赤也…っ」
それから逃れようと顔を横に背けようとした瞬間、半ば無理矢理に唇を塞がれた。
生温かい舌が、唇の隙間から侵入してくる。
息ができない。
突然のことに全身が強張って、動かなかった。


「ん、はぁっ…」
漸く肺が酸素で満たされて目を開くと、赤也は俺をじっと見ていた。
「…柳さん…」
耳朶を直に吐息がくすぐり、耐えかねて足先を蠢かせる。
「赤也っ…」
俺の頬をなぞる赤也の指は、少し熱かった。
「柳さん」
経験上、今の彼の言わんとすることは察せられる。
情事後に襲う独特の怠さは未だに体を占領しているが、赤也に求められて断ることなどできようか。
頷いて肯定の意を示すと、さっきと同じ手段で口の呼吸を奪われた。
口内を這う舌が熱い。


「っ、赤也っ、あか、や…」
脳内で言葉を組み立てることさえも容易にこなせず、赤也、赤也、とそればかりを繰り返した。
「柳さん…?」
やはりどこか痛むのかと尋ねる赤也に大丈夫だと再び告げ、小さく笑う。
すると彼も安堵したようで、中断されていた律動が再開される。
「あっ、ん、あぁっ…」
奥を突かれ、抑えられずに俺が声を上げる度、赤也は嬉しそうな顔をした。
年齢差ゆえに少々小憎らしくはあるが、そんな赤也を見るのが好きでもある。
「あかやっ、…ひぁ、ぁあっ…!」
何の前触れも無しに赤也の手が俺の性器へ伸ばされ、勃起したそれを握った。
反射的に駄目だと首を横に振るが、何が駄目なのかと聞き返され、口を噤む。
そのまま陰茎を上下に擦られ、彼の手が濡れそぼった。
その間も絶えず体を揺すぶられ、追随して声までも乱れてゆく。
「、柳さん…っ」
「んぁっ、は…ぁ、赤、也っ…」
再び赤也の首へ手を回すと、名前を呼ばれて口付けられた。
荒い息遣いが間近に聞こえて、下腹が小さく疼く。
飽くことなく、互いの唇を食むように貪った。

「っふ、んん…」
「…、柳さん、つかまってて」
若干掠れた声に、鼓動が早まった。
密着した肌の温度はいつもより高い。
「はぁっ、んぁ…やっ、だ、駄目…っ!」
つかまっててと言われ、急に奥を突かれた瞬間、背筋をぞくっと何かが駈けた。
律動は激しさを増し、加減できなくてと申し訳なさそうにしていたのは何処の誰だったかと聞きたくなるくらいだ。
「柳さん、っ…」
「やっ、ぁあっ、ぁんっ…ぁ…赤也っ…!」
しがみつく手に力を込めると、腰を引き寄せられて結合が深くなった。

「あ、あっ…ひぁ、ぁあっ…!」
何度も好い所だけを刺激されて、きっともう全て知り尽くされているのだろうとぼんやり考えた。
内側から生じる快感に、引き攣ったように脚が震える。
そしてそれは全身へ広がり、絶頂が近いことを知った。
「あ、赤也っ、赤也っ…もう、っ…」
「ん、イく?」
すると更に強く貫かれ、衝撃に爪先がぴんと伸びる。
「や、あ、ぁあああっ…!」
どくんと脈打って射出された精液が、体を白く塗った。
「はあっ、ぁぁっ…赤也っ…」
「柳さん…っ」
蕾が赤也の陰茎を強く締め付け、中に彼も吐精した。
中から自身が抜かれ、吐き出された熱が下腹に満ちる。
「赤也っ…」
抱きつく腕はそのままで呼びかけると、体を起こされて抱きすくめられた。
「柳さん」
背中を撫でる手が心地良い。
半分眠ってしまいそうになりながら、赤也の首元へ頬を擦りつけ、顔を埋めた。
「疲れたっすよね。寝ちゃって良いっすよ」
そう囁かれて目蓋を閉じると、俺の意識は急速に眠りに落ちていった。


end




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