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満員電車




「蓮二」
「やけに機嫌がいいな、仁王」
「試したいことがあるんじゃ」
「女装ならもうお断わりだ」
「そうじゃのうて。場所、じゃ」
仁王が悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
嫌な予感が胸をよぎる。
「電車の中、どうじゃ?」
「見られたらどうするつもりだ」
「蓮二はそういうのも興奮するからええじゃろ」
「・・・!」
「決まりじゃな」
一瞬、別れてやろうかと思った。


翌朝。駅に着くと、嫌というほど見慣れた銀髪が視界に入った。
「仁王・・・」
「参謀、やけに疲れとるの」
「そう言うお前はやけに機嫌がいいな」
昨日と同じ言葉を口にして、改札口を通った。


「電車、来たぜよ」
仁王が乗ったのは、酷く混んでいる車両。
乗車率は100%越えであろう、満員電車だ。
「・・・っ!」
「静かにしんしゃい」
電車が出発した途端、ドアに体を押し付けられた。
後ろから腕を回され、腰の辺りをまさぐられる。
あっという間にズボンのチャックを降ろされ、仁王の手が侵入してきた。
「んっ!?」
「ばれてもええんか?」
声が出せず、俯いたまま首を横に振る。とりあえず、近くの手すりにしがみついた。


「・・・っ、ぁっ・・・ん、ふあ」
仁王が扱いている俺の陰茎は確実に勃起し始めていて、先走りが溢れ出てくるのが自分でも分かる。
「淫乱じゃの。こんなところで感じとるなんて」
耳元で低く囁かれ、体がビクンと跳ねた。
誰かに気づかれてしまったらどうしよう。
ましてや、知り合いなどがいたら。
一人でも何気なく後ろを向けば絶対に気付き、俺のことを不審に思う筈だ。
「に、ぉっ」
「何じゃ?」
「もう、い、やだぁっ」
「ダメじゃ」
仁王が俺の蕾に指を入れてくる。
中をグチャグチャに掻き回されて、だんだん、イきたくなってきた。
でも、こんな所で射精してしまうわけにもいかない。
俺はただ黙って俯き、声を抑えるしかなかった。


突然,仁王が行為を止めた。
「・・・っ、え?」
「降りるぜよ」
ズボンのチャックを上げられ、手を引かれるままに下車した。
そしてそのまま、駅のトイレに連れ込まれる。
「に、お・・・?」
後ろからぎゅっと抱きしめられ、戸惑いながら名前を呼んだ。
「さっきの電車、にな。蓮二のことずっと見とる奴がおった」
「仁王・・・」
「やっぱり、蓮二のあんな顔誰にも見せとうない。俺だけのものにしときたいんじゃ」
「・・・そう、か・・・」
「だからここで続きするぜよ」
「・・・に、仁王っ!」
ベルトを緩められ、ズボンが落ちた。
「さっきので慣れとるから入れてもええじゃろ」
「んっ・・・」
「壁に手、ついて」
仁王に言われたとおり壁に手をつき、彼の方に尻を突き出す格好をする。
「は、やく・・・」
「やっぱり、淫乱じゃな」
もう、淫乱でも何でも良かった。
仁王が俺の腰を引き寄せ、ゆっくりと蕾に陰茎を挿入する。
「あああっ!」
抉られるような圧迫感が心地よかった。
律動を始めた仁王との身長差のせいで下から突き上げられるような感覚に陥る。
「ひゃぁんっ、あっ、んんっ・・・!」
激しく腰を打ち付けられ、立っているのが辛くなる。
それでも気持ち良くなりたくて、腰を振った。
「・・・蓮二・・・っ!」
「ぁあんっ、におっ、におぉっ!もっ、はあっ、イ、イくっ・・・!」
今まで以上に激しく突かれ、ナカが痙攣しはじめた。
陰茎も勃ち上がり、先走りを辺りに撒き散らしている。


「んっ、はぁんっ、ああっ、ああああっ!」
射精した途端ガクンと膝から力が抜け、その場に崩れ落ちそうになる。
すると、仁王が抱きしめて支えてくれた。
そのまま仁王もナカで射精し、俺は彼に抱きついた。


「に、おっ・・・」
「遅刻決定じゃな」
「あっ・・・」


その後二人そろって遅刻の理由を聞かれ、まさかセックスしていたとは言えず、
「寝坊しました」
そう言って誤魔化した。
その時俺の顔を見てにやっと笑った仁王の顔が妙に印象的で、未だに忘れられない。

end

________
余談ですが、管理人がこの間仕事の関係で通勤ラッシュの電車に乗ってたら、
「柳ってさ」
「おう」
「あいつ、ホモ?」
っていう男子高校生の会話が聞こえてきまして、そこから電車の中で妄想を膨らませたお話が今回の元ネタです。
「柳」って言ってたのは気のせいじゃない筈。
いやぁ、偶然って素晴らしい。


では。



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