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目玉焼きを焼いていると、着替えた晴がとことことやってきた。

「昨日眠れた?お前んちみたいな良い布団じゃないからさ…」
「バッチリですよ。なんというか懐かしい感じがしました。前世を思い出すというか‥」

前世…何の時代だ。

「まあ‥眠れたなら、いいけど」
「ところでここはなんですか?」
「え?…台所」
「へえ。じゃあ俺んちのあれは台所じゃないのかなあ‥」
「いや台所、台所だと思うぞ。ただここがお前のより小さくて汚くて物が少ないだけで」
「あっこれはなんですか!?」

ああもう、冷蔵庫だよ冷蔵庫、悪いかよ!もう知らん!どうせなにもかも汚くて小さいよ!

「あのさ晴……ってこらあああ!」
「わっ」
「なにやってんだよなにやってんだよお前!」

お前はあっちの部屋で待ってろ、と言おうと振り返ってたら晴が冷蔵庫開けて頭突っ込んでたから慌てて引き剥がして、バタァン!とすぐさま扉を閉める。

「だってなんか涼しくて」
「いや涼んでんじゃねえよ!知らないなら言うけど冷蔵庫ってタダじゃないんだぞ!」
「冷蔵庫…」
「悪いかよ!」


ああもう、朝から疲れた。俺がイライラしてきたことに気がつかなかったらしい晴が無遠慮に顔を覗き込んでくる。

「恭祐さん?」
「…………」

目玉焼きを皿に移しながらチラッと冷たい視線を送ると、晴はピクリと跳ねて縮こまった。

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