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「仁はもっと、自分の感情だしたほうがいいと思うよ。素直にさ」
友紀の部屋で、一緒に宿題をかたしながら言われた言葉に素直に返事できず、曖昧に唸った。
なぜなら全く同じように俺だって思っていて、素直になろうと努力して、でもなかなかっていうのが今の状況だから。
友紀に言われなくたってわかってる。ていうか、もう何回も聞いた。
「雅樹がなんで俺と付き合ってるかわからん」
「うん、僕も」
「も、しかしてだけど、からかわれてるとか、」
「ああ‥‥」
「えっ」
なんてまさか、雅樹がそんなことするやつだとは思いたくない。からかうとか。
でも、わかんないし。
俺にすごく優しくしてくれてるけど、まだ、好きって思われてはいないんだろうなってわかる。
「そういえばさっきの、感情出すってことだけどね」
「うん?」
「嬉しいときは嬉しいっていうとか、恥ずかしいときは恥ずかしがっとくとかそういうことだよ。
照れくさいからバーカバーカ言ってればいいってことじゃないからね」
「わかってるよ!」
それが難しいんだよ!
バーカって口癖みたいになっちゃってるの、なおそう。
「あと睨むのもやめなよ」
「…俺、睨んでた?」
「頑張って」
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