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しまった、と思った。
そして思った時には、もう駄目だった。
雅樹のこと‥殴っちゃった、
いや殴ったというよりは、はたいたって感じだったけどでもどっちにしろ結構力一杯いってしまったってことに変わりはない‥。
「あ…っ、ごめっ!」
「い、たかったあ…仁、どしたの」
右頬を探りながら、ばつが悪そうに笑った雅樹に、少しホッとした。
怒るかなと思ったから。
でもどしたの、の質問に答えられないまま俯いた。
雅樹の家に遊びに来たのはよくて、でもやっぱりいまいち素直になれくて、相変わらず微妙な関係の級友同士みたいな空気だったと思うけど
雅樹がいっぱい話しかけてくれたから、ちょっとは和んでたはずだ。
他愛もない話をして、‥なんて幸せなんだ死んでもいい、‥なんて思ってた時、問題のことが起こった。
‥雅樹が、俺にキスしようとした。
キス‥だよ、?
それはもう、当然のように、慣れてますみたいなかんじで。
それではたいた。
そして今。
「なに、‥嫌だった?」
「ちが‥けど、」
「びっくりした?」
「………、」
ここで、うんびっくりした、それだけだよごめんね!
なんてこっちからキスしかけなおせば、ちょっとは良かったんだろうか。
俺はなにも言えず、顔も見れないまま。
最初は優しい口調だった雅樹が、だんだんイラついてきたのが手に取るようにわかった。
なんか言わなきゃ、でも‥。
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