03(2/3)
「亮太ー。ただいま」
「っふ…賢斗…?」
「そんなに泣いたら目が腫れるよ」
「…っ泣いてない」
いいえ泣いています。
亮太の心の叫びが聞こえるようだった。
そっか泣いてないのか、と言ってほっとけば良いのかもしれない。
けど、そんな事もできない俺は本当に駄目な奴だよな。
優しすぎると昔友達に言われたのを思い出した。
そうなのか、…
「亮太ー…俺なんかした?」
「んっ…してないよ、
悪いのは俺だよっ…」
別に、悪いも糞もないだろうに。
自分が悪いんだと言ってはいるものの、俺に「悪かった」と言ってほしいと思ってるのは手に取るようにわかる。
なんてわかりやすい。
わざとかな。
「…あのね、俺が好きなのは亮太だけだよ」
「う、そ…っ」
嘘なものか。
今日の亮太は俺が浮気をしたと思っているらしい。
勿論、心の底からそう思っているかは謎なところだけれど。
嗚咽をあげなからゴシゴシと目を擦る亮太の腕をそっと取った。
赤くなった目が俺を捉える。
こんなときでも、可愛いな、と思ってしまう。
だから甘いんだな。
「あの人はただの友達。方向が一緒だっただけだよ」
「……」
信じられないよ、という顔をして亮太は俯いた。
まだ続くのかと心の中で思わず溜め息。
本当にただの友達だよ。
こんなに悩ませてごめんね、1人でこんなに泣いていたんだね、
可哀想に。
可哀想な亮太、大好きだよ。
そう言えば、亮太は喜んで微笑むのだ。
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