03(2/4)





「……チッ」


学校で、朝下駄箱の扉を開けた途端舌打ち。
生意気に俺の靴の上に乗っかる所詮ラブレター。
初めてお目にかかった日こそドキリとしたものの、いつしかその存在は酷く鬱陶しく邪魔なものに変わっていた。

丸い文字でなんだか差出人の名前が書いてあったけれど見覚えがない。
俺は適当にそれを握り潰して、傍にあったゴミ箱に放り込んだ。
同時に、何処からかワッと女子の泣く声が聞こえた気がした。
多分気がしただけだな。







「………愁」


教室に入ったらなんとラッキーな事に、愁の他誰もいなかった。
そしてその愁は、机に突っ伏して眠っている。


「おい起き………」


なくてもいい、か。

愁の前の席に座って、寝顔を眺める事にした。
頬が潰れて、少し開いた口から涎が今にもこぼれそうで湿った唇。
…おい。これはヤバいんじゃねえのか。

今すぐ唇にしゃぶりつきたいのを必死に我慢しようとして、目を閉じた。

―。

廊下からうるっせえ女子共の声が聞こえる。
きゃあきゃあ騒ぐ女子数人の声は、この教室の前で少し小さくなった。


「ね、見て。直樹君と愁君だ」

「ほんとだ!何してんのかな」

「ね、あの2人って絶対デキてるよね」

「だよね。共学なのにね。」


ああ?なんだアイツ等。
共学だろうが何だろうが関係ねえだろそれ以上こっち見てると大砲ぶっ放すぞコラの意味を込めて、閉じていた目を開いて思い切り睨みつけた。


「きゃ!聞こえてたみたい!」


何が「きゃ!」だ。
くそ、ムカつく。


 

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