中(1/3)



「今まであんまりつまんないって思わなかったけどねー」

「そうか」

「今日直樹を見たら思ったんだけどやっぱりつまんない」

「学校つまんないって、今日気付いたってことか?」

「うん」


涙がぽとりぽとり、
三粒くらいこぼれ落ちた。

鼻水も出てきたけど、全然拭こうとしないから俺が拭いてやる。
きっとこうしてほしいんだろうから。

愁を見てるうちに、俺もおんなじような気持ちになった。

そうそう、愁ってこうやって、しくしく泣くよな。
声をあげず、眉を下げて。
愁って、こういうサイズだったよな。
こういう雰囲気だった。

たった1ヶ月は、されど1ヶ月で、やっぱり長い。

俺の通う学校には、俺の住む地域には、これからもうこいつがいないんだなあと
今更実感した。


「ほら、愁」


腕を広げて、俺の膝に向かい合って座らせる。
子供みたいだ。

でも、悲しいこと、辛いことを1人で抱え込む奴で。


「‥鼻水が」

「ちょっと待ってろ」

「直樹のシャツでふこっと」

「やめろ」




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