煙草を掴む手が満月越しに滲んだ。
煙を吐き出すついでに零した「お前以外は興味ないな」っていう言葉は多分、自惚れじゃないけれど嘘じゃないと思う



『私以外にもいい人なんて
いくらでもいるんでしょ』

ちょっと本気にかつ冗談っぽく言ってみた飲みの帰り道。
結局2人共飲みたいからって安岡さんから借りてた車ほっぽってタクシーを使った。

後部座席に2人並ぶのは新鮮だったし、私だけ何故か緊張しちゃって変な事を聞いてしまったんだけれど
気持ちよく酔った幸雄さんは、輝かしい夜の街を眺めながらあっさり答えてくれた



「何でまたそんな事。
似合わない事を言っても
似合わないだけなのに」

『どうせ私に可愛い尋問なんて
似合わないですよーだ』


なんて憎まれ口を叩いて私側の窓におでこをくっつけて、幸雄さんとは反対の景色を眺めた。
眺めながら、『私の彼様はどうしてこんなに素敵なんだろう!』と心地よい乱れを起こす心臓の中で叫びたいなって













人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -