「お前は本当に人好しだな」
突如沢田が放った言葉を、ナマエはその言葉の纏う空気から嫌みと察知した。
なにか沢田さんの機嫌を損ねることでもしてしまった...?
記憶にない罪悪感を抱いて駆け寄ったナマエの八の字眉は沢田の視界に入らない。
敢えて入らないようにしているのだ
その思考はまるで子供。
沢田自身そう感じているから
もっと困らせたい、もっと悩ませたい、なんて子供のように少し「らしくない」態度をとっていることに沢田も罪悪感を抱いてしまう
しかし、先ほどのナマエの行動を思い返してみれば安いものだろう。
酔った天と空気に流され肩を抱き合い、沢田の呼びかけにも答えずひろと笑い声をあげている
当然の結果だろう。
と言い聞かせ、自分の足元に寄ってくるナマエに目を向けずに溜め息をついた
『私、何か
やっちゃいました?』
「どうだか」
『あ...思い当たる節、
あるかも...』
「....」
『沢田さんのジェラシー、
可愛いけど凄い怖いですね』
そう。全部ひっくるめて、それはただのジェラシー
的をつかれた上に可愛いだの怖いだのコメントされて沢田は思わず肩を抜かした。
煙草を取り出しながらナマエに隣に座るよう無言でソファを叩く
そうして同じソファに隣同士腰を沈めたナマエの肩に手を回し大きく息を吐き出せば今度は充実感に身を駆られた沢田であった