機嫌がいいのか、注がれる酒を休まず喉に通すひろくんをなんとも言えない顔で沢田さんが見ていたから面白かった


つい吹き出すと、「介抱するのは俺なんだからな...」と愚痴を零した。
裏で住む人間にしては随分覇気のない、なんて思ってはいないけれど思いたくもなる。
沢田さんなんてただの優しくてかっこいい人じゃないか
声に出したつもりじゃあ無いが、沢田さんが「おい」とつっこんで軽く睨んできた。
ってもうひろくん寝てるし...



「疲れたんだろ...」

『なんだかんだ言って
起こさないですね、沢田さん』

「何が言いたいんだよ
もう店出るからこれで
払ってきてくれや」


革の財布を卓の上に投げ出すなんて、そんなに信用してもらえてるのね
なんて顔に似合わず頬を染めてる間に沢田さんはひろくんを担いで店の外に出た。

さっさと会計を済ませてのれんをくぐれば、暗い外に店の明かりで白い息がぼんやりと照らされる。私の影と、ひろくんを負ぶる沢田さんの影も




「悪いな、気つけて帰れな」

『沢田さんこそ。今日は
ごちそうさまです』

「またいつでも」


そう言って愛おしい笑みを向けた。
全くこの人は、最後の最後でデレるんだから
片手で私の頭を優しく撫で、潔く手を振って別れる。
そんなんなら私だってひろくんのように酔いつぶれて沢田さんに介抱されたかったわ、なんて子供のような事を思い更けってしまうから駄目駄目
幾らでも甘えてしまうだろう、彼の前では。寛大な彼の前では










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