アカギさんアカギさん。
黒く染まった大人達の中で、コイツはいつも俺についてくるんだ
変わった子だな、と思ったけどまあ俺に言えたもんでもないから好きなようにさせているし
見てて飽きないから不快にはならないし
『アカギさんアカギさん』
「はいはい」
『アカギさんはどうして
髪の毛が白いんですか?』
周りの人間が敢えて触れてこない所をガンガンつっこんで来るとことかも面白い。
「白髪だよ。白髪って
年取ったらはえるだろ」
『はい』
「年取ったら死ぬだろ
だから俺ももうすぐ死ぬから
はえてるんだよ」
って言ったら泣き出した
にこにこにこにこ笑ってたナマエが、今度はわんわんわんわん泣き出した。
地響きも応じる泣き声に駆けつけた周りの奴らが「虐めてやるなよ」だって
虐めた訳じゃない。賭けてみたんだよ
この子の中でどれだけ俺が大きいか賭けてみたんだ。
だから、こうして俺でさえ驚いているのはこの賭けは俺の負け
『いやだよ!死なないで!
アカギさんが死んだらイヤ!
いやいや!アカギさん!』
あやされるナマエが俺に手を伸ばして泣きじゃくっている。
さっきから胸の奥で随分小さな痛みが暴れているのは多分そのせいだろう
ああ良かった。生きる意味が見つかったと、