クリスマス、予定ある?
『ないないないない
ないですないです!』
「はは、そっか」
まあそんな事言われれば誰だって期待する訳で、その日からずっといつ連絡が来るものかとソワソワしていた私が恥ずかしい
だってもう25日の夜。
考えてみれば、あの時零くんは私の予定を聞いただけで何かしようと言った訳ではない。
それでもやっぱり、期待しちゃうじゃん!結局私は綺麗にはめられちゃったんでしょうよああ乙女心を弄ぶのがそんなに楽しいかいそんなに!
部屋の中で1人、三角座りでキャンドルでも点けるかと自ら可哀想な方向に持っていき始めようとした時
窓からノックの音が聞こえた
『やばいよ私
幻聴まで聞こえるように
なるなんて...あわよくば
カーテンを開けたら零くんが
居るなんてそんな夢みたいな
事起きる訳ないじゃない
あー目を覚ませ私目を覚ませ』
「いいから開けろよ
寒いんだけど、外」
いよいよ声まで聞こえるようになったかと膝を抱える腕をぎゅっと引き寄せて自分の行きすぎた妄想を恥じていれば
まるでどこぞのホラーのようにバンバンと窓を叩く音が耳を貫き、目が覚めた!夢じゃない!?
急いでカーテンを開けたらそこには
「おい、いい加減にしろ」
『嘘...』
部屋へ上がり込んだ零くんは、零くんで
寒い外で長いこと居たものだから華奢な掌をさすり合わせて唯一温かい息を吹き当てた
「まさかナマエが
こんな風になるなんて
計画通り過ぎてつまらないな」
『あなたって人は...』
「上げて落とすが基本だろ?
でも結局来てやったんだから
結果オーライ。喜びなよ」
零くんがそう言ったんだから。夢じゃないんだから。
なら構わない!
勢いをつけて未だ身を暖めている零くんに思いっきり抱きついてやった
ああ、実感する。温かい!
『メリークリスマス!』
「あ、うん...
メリークリスマス」
抱きついて見ればやっぱり男の子だとわかる零くんの首元に顔を埋めていたから、彼が照れていたなんてことは夢にも思わなかった