「いーわーちゃーーーんっ!!!」
「うるせぇ邪魔だ。近寄るな」
『いーわーちゃーーーんっ!!!!』
「おっす」
「何その態度の差は!!!酷い!!及川さん傷付いた!!!」
「勝手に傷ついてろ」
何百回とやったであろうやりとりしながら午後の練習をする為に部室に向かう。
『ごめんねぇ徹』
「うわっなにその勝ち誇ったような顔、腹立つ!」
『だって私は岩ちゃんの彼女だもーんっ』
「俺だって岩ちゃんの幼馴染みですー」
やいのやいのとじゃれ合いながら俺の後ろをついてくる2人に自然とため息が出てくる。
藍は我が青城バレー部唯一のマネージャー、そして俺の彼女だ。
部室のドアを開けると他の部員達はもうきていたようで「ちわっす!」「こんにちは」などの挨拶が飛んでくる。
花巻と松川ももうジャージに着替えているようで、扉を開けた俺と後ろの2人を交互に見たあとに「お疲れ」と一言労いの言葉をかけてくる。
『じゃあ私も着替えて練習の準備してくるからまた後でね、はじめ!!』
そういいながら手を振ってくる彼女に「おう」と短い返事をして扉を閉める。
そしてロッカーに自分の荷物をしまおうと前を向くとニヤニヤした花巻と松川がいた。
「「また後でね、はじめ!!」「ああ」だって。部活なんだから俺達もいるのにネ〜」
「ほんとほんと」
大げさに真似をしながらこれだからリア充は。と付け足してくる。
真似をされて少し恥ずかしくなり、話を逸らすように「お前ら着替え終わったんならとっとと行けよ」と促す。
しかしそんなことで話を逸らせるわけもなく、いつの間にかは藍と及川は似ているという話になっていた。
「だけど岩泉、よくあのテンションについていけるよね。俺絶対無理。疲れでハゲる」
「それ俺も思った。あんなの及川が2人いるようなもんじゃん。なに、岩泉ああいうのがタイプなの?」
それを聞き「なにそれ、褒め言葉?」と言っているアホはこの際無視して花巻と松川の疑問に答える。
そんなの、答えは単純だ。
「そんなの藍はそんなとこも可愛いからに決まってんだろ」
あたかも当たり前だというように答えると松川と花巻はその答えが意外だったのか、少し驚いたような顔をしている。
「愛、か」
「愛だな」
「岩ちゃん酷い!!」
本当のことなのだから仕方がない。
確かに藍は及川と同じようなものを感じる時が多々ある。
しかし何故だか彼女の場合はそんなところも可愛いなと思ってしまう自分がいる。
(及川に対しては苛立ちしか覚えないが)
自分でも意外だが、それだけ藍に惚れ込んでいるということだろう。
「先体育館言ってるからお前らも早く準備してこいよ」
そうジャージに腕を通しながら未だに何故なんだと議論をしている3人に告げて部室を出る。
すると丁度藍も着替え終わったようで、『あっ!!はじめー!』と笑顔で駆け寄ってくる。
ほら、やっぱり。
「藍って及川に似てるよな」
『え"、なにそれ全然嬉しくないんですけど』
「でも可愛い」
予想だにしていなかった返答だったのか藍は顔を赤くしながら、『へ?』と間抜けな声を出して固まる。
「いや、なんでもない」
言ったはいいものの、普段こういう類の言葉を口にしない為急に恥ずかしくなり藍の頭をワシャワシャっと撫でて誤魔化す。
『もう一回!!!もう一回だけ!!』
「うるせえ早く準備するぞ」
しばらくずっとそんなやりとりをしながら俺達は練習の準備へと向かった。
『ねぇ聞いて聞いて!!私さっきはじめに「可愛い」って言われたの!』
「岩ちゃん俺は俺は?!!」
「うんこ野郎」
「違う!!そうじゃない!」
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岩ちゃんには及川みたいにウザいくらい絡んでくる彼女が似合うよなーと思いながら。
及川は絶対岩ちゃんの彼女と仲良くなる(確信)
*PREV END#
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