*フリオニールがカオス勢で反乱軍




前略。
故郷の皆様、元気にしていますか。私はカオス勢として世界を支配すべく頑張っています。今は、フリオニールもカオス勢にいるので支配を手伝わせようと思っています。ただ、私の心はもう、折れそうです。

「はっ!」

パンデモニウムに矢が刺さり壁に罅を作っていく。正直怖い。一歩間違えれば矢は簡単に私の体を射ち貫くだろう。こんな時のためにある程度護衛術を習っておいてよかった。本当によかった。かわさなければ、間違いなく殺される。
間合いを詰められ、罠を連続発動させる。魔力的に辛いが、首をとばされるよりはずっといい。舌打ちをして罠に深く入らなかった相手は去っていった。
相手の気配が完全に消えてから深く息を吸う。危なかった、本当に。最近、寿命が縮こまる思いしかしてない。


フリオニールは変わった。
前は義士という言葉が本当に似合っていた。しかし今は反乱軍を地でいくようになった。ガラは悪くなり素行や言葉遣いも一段と悪くなった。私を見るたびに舌打ちはしてくるし、笑顔の時は確実に闇討ちをするときしか見せない、暗黒フリオニールである。初めてこんなのを見た。
そういえば言いたいこともちゃんと言わせてもらっていない。大体台詞は最後まで言わせてもらえないのがデフォルトだ。はぁ、ため息も漏れる。皇帝である自分がどうして、こんな。

一瞬の殺意が走る、斜め後ろから斧が投擲された。早い。すんでのところでかわし、振り向くとフリオニールが跳ね返された斧を受け取ろうとする左手と槍を振りかざす右手。これはまずい。自分でも信じられないくらいのスピードで魔方陣を紡げた。こんなことはもうできない、そのくらいのスピードだ。槍が届く前に魔法の炎がフリオニールに届き、それをフリオニールも塞いで、後ろに跳ねた。体勢を整えたフリオニールがこちらを睨む。

「避けるなよ。」

何度もいうが私が知るフリオニールは暑苦しく、単純だが真っ直ぐで情に厚い男だ。こんな弱肉強食を地でいき、何人も女を食ってます、という男ではない。

「何を馬鹿なことを言っている。避けなければ、お前は私を殺す気だろうが。」

フリオニールは片方の眉を上げて、驚いた後に豪快に笑った。

「当たり前じゃないか!俺は反乱軍だぞ?お前が死んで新しい王が即位すれば戦いは無くなる。もう飢えることも無ければ、両親や家族を失うこともない。女子供は怯えずに生きることができる。お前さえいなければもう誰も苦しむことも悲しむことも無くなる!」

フリオニールの攻撃が増す。皇帝は先程よりやや大振りになった攻撃を避け、魔法を紡ぐ。瞬時にフリオニールの体は紋章に拘束され地面に縛られた。

「それならば私は死を望む。しかし、私が死んだ所で悲しみも憎しみも生まれ続けるぞ。貴様はそんなことすら忘れてしまうから虫けらなのだ。」

紋章に縛られたフリオニールを憐れみと軽蔑の目で見下すと、皇帝の手元から高温の熱球が放たれる。その熱で空気がぐにゃりと曲がり、皇帝から見たフリオニールの顔も歪む。フリオニールの口が動く。放たれた呪詛の言葉が熱で押し潰されたのが最後だった。


血纏れた後で


しんとした居城で皇帝は再戦のために潜む。


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