白ひげさんはどうして息子はいて嫁はいないの?昔はいたんでしょ?離れ離れになっても一途に思い続けてるんでしょそうでしょ?







今でもたまに夢に見る。

あの頃は、あの幸せが永遠なのだと疑うことも知らずに与えられる幸せをただ味わった。二人して無茶をして馬鹿をして酒を飲んで笑い合う。それだけで薄汚い世界が輝いて見えた。

「 ーーーーー」

夢で見る彼は随分と古ぼけ曖昧だが、表情豊かで常に怒ったり笑ったり忙しい奴だった。夏島が苦手で冬島が好き。だけど陽気な夏島が結局気性には合うらしい。

「 ーーーーー」

一度大喧嘩した時は大変で、島を一つ更地にした。さて今思えばあの喧嘩は何が原因だったか。夕飯が肉か魚かぐらいの内容だったような気もする。

陽気なくせに口下手で、ごめんの代わり、仲直りの合図は控えめなハグだ。今思えばあいつからの謝罪は一度もない。なんとも意地っ張りな男ではないか。

「ごめんなァ」

だからこれは夢だ。

現実ならあいつは謝らないし、謝る代わりに控えめなハグを寄越す。

「謝るぐらいなら、分かってんだろアホンダラァ」

ぱちりと現実を見た双眸には、照れくさそうにぶすくれた男の姿はやはり映らず。