昔々、そこには海賊団がおりました。
悪虐非道で名を馳せた、残虐極まりない海賊です。

ですが、人の命には、航海には必ず終があります。手に入れた名声の割に呆気なく壊滅に陥った海賊団でしたが、それでも仲間はとてもとても大切でした。

「あんたは生きてくれ、船長」

血にまみれたクルーが笑います。はるかはるか昔のことです。ただただ死んで欲しくなかったのです。

そうして男はとても長い時間を生きました。気が遠くなる程の、長い長い時間を独りで生きました。

「俺はもう充分生きた」

不老不死となった体は、命を終わらせる術を持ちません。男はゆっくりと終わらせる方法を探します。いくつかの方法は考えていますが、どれも確実ではありません。とてもとても苦しいものばかりです。

それではこの命を与えたかつての仲間が悲しみます。

そうして長い時間をかけ見つけた、かつての仲間と同じ実を食べた能力者。

彼ならこの命を終わらせられるかもしれません。甘い期待を胸に、男はゆっくりと終焉へと足を踏み出しました。