足して割ればいいのになあと言うのがボルサリーノの感想だ。

小指で耳をかきながら尊大にふんぞり返り、元帥ことセンゴクの尋問を聞いてもいない男はどこからどう見ても質の悪そうな輩だが、同時にどこからどう見ても大将赤犬だ。

なるほどあの顔はどう転ぼうとも愛想のいい善人とは見えないらしい。

「つまり、お主は酒場で潰れて気がついたら軍艦に乗せられておったと」

「お縄につく覚えはなかったんじゃがのォ」

「再度聞くが、お前の名は」

「じゃあけぇ、グレイじゃ。グレイ。俺はグレイ。何遍同じことを聞きゃあ気が済むんじゃ」

まるで不貞腐れたガキ大将のような顔で、グレイと名乗った男は口をへの時に曲げて天井を仰ぐ。