生まれ変わったら女になりたいなぁ、なんてほら、思春期男子と男人生に疲れた爺さんとかが思いそうな事を思いながら死んだ俺は、普通に男に生まれ変わった。男...だよな?ちょっと角と背びれで人類か怪しいナリしてるが、とりあえずオスメスで言えばオスだ。

しかし一度天寿を全うした俺は一味違った。天寿を全うできたんだからもうよくね?といった楽観主義と悲惨な人生送りそうな門出を察して、やりたい事やってみることにした。俺はオネェの道を行く。生前流行ってたし。

「キャハハ!バカじゃないの、ベビー!」

「ぐすっ...!デリンジャーうるさい!」

怒っちゃやーん、なんてどこのあれだと言われそうなこと言ってもほら、こっちじゃ死語とかないから。ジジイに優しい新世界。

「デリンジャー、ベビー5をあまりからかうな」

「キャハッ、だって面白いんだもの!」

「ううううう...!」

男に騙されたとか遊ばれたとか貢がされたとか、話題に事欠かない姉ポジのベビー5は今回、若に婚約者をぐしゃぽいされる前にぽいされたらしい。

精神的年上の元ジジイは男の心理が丸見えなのでやめとけつっといたのにこのザマである。可哀想に。

「ベビーったら美人なのにモッタイナーイ!男と遊んでないで私とショッピング行ってちょうだい!」

「わ、私が必要なのね!」

「超必要よぉ、欲しい服がいっぱいあるもの!」

「荷物持ちだすやん...」

「だすやんも行く?」

「遠慮するだすやん...重たいの持たされるだけやん...」

「えー?なんのことー?」

もちろんそのつもりである。

冒頭の注意以降、フッフッフと見守っていた若がほらよとお小遣いをくれたので懐ホクホクで出かけられるのは今世のいい所だ。

「いってきまーす!」

「待ってデリンジャー!」

心優しい元ジジイが買い物ついでに慰めてやろうではないか。だから荷物持ってね!