左手には重くないのかと聞きたくなる程の装飾品の山だ。

数珠のブレスレットにくすんだ革のミサンガ、複数の金のブレスレットに銀のリングとゴツめのチェーン。宝石が散りばめられていたバンクルが中でも目を引いていたのだが、この間酒で気が大きくなって娼婦にあげてしまったらしい。あとで後悔に打ちひしがれていた姿はなんとも情けなかった。

対して右手だが、面白い程対照的に装飾品一つない。

仲間はその理由を愛用している剣やら銃やらが使いにくいのだろうと適当にそれらしく考えていたのだが、キラーは今しがた何となく彼を眺めていて思ったのだ。

「おいグレイ」

「んー」

ぐいん、と強制的に引かれた腕、もといアクセサリーに引きずられることに大した反応もせず素直に引きずられならが、グレイは右手で読書を続けている。

キッドは彼を呼びつける時、大抵能力で強制的に呼びつける。それはグレイは何かに集中していると呼び掛けに対する反応が鈍いこともあるし、アクセサリーのおかげで能力が使いやすいことがあるだろう。

で。