「出た、サカズキタイム」

うへ、と顔をしかめたグレイに釣られるようにサカズキの顔もしかめられた。お前ね、と毎度呆れたように苦言を呈する男は、海軍内で唯一サカズキとさしで酒を共にする男だ。恐らくサカズキにとって一等気を許している男は、気を許されていることを自覚するように軽口も苦言も批判も口にする。

サカズキタイムとは、そんな男にサカズキの時間感覚がずれていると随分と昔に揶揄された言葉だ。

「お前ね、いつの話してるの」

言われるまで忘れていたと、思い出せるならまだいい方だ。結局話終わるまで思い出せないようなことも多々あるし、あったのだろうと想定して話を進めるのは結構ざらで、今回は辛うじて思い出せた話である。

いつだったか、軽い口約束で