意外と柔らかな黒髪を、指に絡ませるように撫でた。

あまり馴れ合わないこいつが宴やばか騒ぎに終盤まで居るのも稀で、酒に飲まれるのはもっと稀だ。お開きになった宴のあと、俺の家でだらだらとしていればいつの間にか二人して床で雑魚寝のように転がっていた。

うとうとと浅い眠りに意識を浮かべるワイパーの寝顔を、どこか微笑ましい気持ちで眺める。素面ならこの視線にすら煩わしそうに眉間にしわが寄せられるが、今は髪に指を這わせることを許すほどに酒に意識が持っていかれているらしい。

恋仲であるのかと言われればそうでもないが、憎からずは想いあっていると思っている。

擽るように刺青を指先で撫でればむずがるように身をよじる。そのしぐさが妙に幼くて、思わず喉で殺すように笑った。

「」