言い訳するなら酒の魔力である。

爽やかな小鳥のさえずりに爽やかな目覚め、とはいかず二日酔い特有の気持ち悪さに唸れば、その横で似たような声がした。

なんだ、昨日は娼婦でも買ったのかとまで思い横を確認すると、一気に血の気が引いた。声にならない悲鳴をあげかけ、起こした瞬間死ぬと咄嗟に飲み込んだ。パニックに陥る頭で必死に昨夜の記憶をかき集める、なんてことせずとも横を見た瞬間洗いざらい思い出した俺の負けである。精神衛生的に。

一介のカジノディーラーがオーナーを抱いちゃったよ、おい。

これは首が飛ぶ(物理)フラグかと驚き戦いていると、同じく二日酔いなのか何時もより顔色の悪いオーナーが枕に埋めていた顔でぱちりと俺を見た。

「……、みず」

「あ、はい!」

ベッドから転がり落ちる勢いで人生初の宿泊である無駄に豪勢なホテルの備え付けの冷蔵庫からミネラルウォーターを取りだし、グラスに注ぐ。

改めて素っ裸の自身を見下ろすと、下半身を中心にかぴかぴだった。おおう。ベッドで待つオーナーの惨状を考えると、この状態での二度寝(物理)の予感に冷や汗が止まらない。がくぶるしながらミネラルウォーターをオーナーに差し出すと、気だるげに奪われあっという間に飲み干したオーナーにグラスを投げかえされる。

そして再び気だるげにベッドに沈んだオーナーに、おや、と初めて首を掲げた。ボトルに残っていたミネラルウォーターを飲み干し、グラスをサイドテーブルに置くとオーナーが俺を見る。

「………」

「………」

非常に、気まずい。

「あーっと…、おれ、シャワー浴びて、きますけど」

とりあえず首が飛ぶ(物理)にしてもこのかぴかぴの状態は避けたいので、逃げ場もかねて思い付いたシャワー室に逃げ込めるか打算してみると眠気が残るのかいつもよりは眼力のない目が二度まばたき、ゆっくりとオーナーの体が起き上がった。

ひやひやしながら