グレイという男はどこか掴みどころがない。
天気がいい日は大抵甲板のすみで転がり昼寝をしている男は、エース率いるスペード海賊団だった男でエースに続くように白ひげ海賊団入した男だ。
エース、エースとエースを呼ぶ声はどこか甘ったるく聞こえるが基本的には粗暴でがさつで、育ちが悪いのだと自身で言っていたがそれは間違いないのだろう。
どこかエースに似ている顔は、それ以上にある男を思わせる。
そう思ったのは、どうやら白ひげことニューゲートだけでは無かったらしい。
「せん、ちょう」
唖然とグレイと対峙した赤髪の男が、元より子供のように丸い目を更に丸くしてぽつりと言葉を零した。船長。それはお前だろうなどと野暮なことは今更言うまい。
小首を傾げたグレイはしばらく赤髪と見つめあった後、助けを求めるようにニューゲートを仰ぎ見た。
困ったような視線を送られるのも随分と慣れたもので、引っ込んでいろというように手を振ってやれば大人しくグレイは踵を返す。