ぶん殴りたくなるような面してんなァというのが第一印象だ。挑戦的な目つきとかでかい態度とか、これでぶん殴らなきゃ一体何を殴れってんだ?

ってノリでぶん殴って早数年、こいつは変わらずぶん殴りたくなるような面を引っさげて俺の視界を陣取るもんで、衝動に任せてそのケツを蹴りあげた。あ、しまった、殴るつもりだったのに。

自分の失態を慎ましやかに反省している横でぎゃんぎゃん飽きもせずに騒ぐキッドに耳の穴をほじるが今日もこいつはすこぶる元気だ。俺はそうでもない。

「キッドくぅん、おにいちゃん耳タコォ〜」

「てめぇが!飽きもせずに!」

「人の頭を殴るからだろうがってェ?それも耳タコォ〜」

「タコ焼きにするぞてめぇ!!」

「え、キッド料理できんの?」

がく、とずっこけたキッドにけらけら笑っていたら笑われたことが気に食わなかったのかキッドの面がまた殴りたくなる面になった。また殴ってやろうか。

飽きもせずにぎゃんぎゃん喚くキッドにへぇへぇさーせんと心にもない謝罪を繰り返せば何が気に入らないのかキッドの怒りはヒートアップしていく。地団駄踏み出しそうな我らがキャプテンをにまにま眺めていれば、背後から盛大な溜息が聞こえた。どうせキラーだ。

「グレイ、そろそろ飯を作ってくれないか」

「キラーくぅん。キッドが作るって〜」

たこ焼きだってぇ、と楽しみだと言わんばかりにはしゃいで見せれば後ろ頭目掛けて鉄柱が飛んできた。

ひょいと良ければ悔しそうに睨むキッドににまにま笑っていればキラーが盛大な溜め息を吐き出す。

「子供みたいな挑発に乗るな、キッド」

「…けっ」