ぺろりと唇を舐めたキャプテンは控えめに言ってエロい。主導権を握りたがるのはキャプテンらしいけれど、どこで仕込まれたんだろうなぁなんて、野暮なことをつい考えてしまう。

人の上に跨って好き勝手するキャプテンに、なんか俺の方が犯されてるみたいだと思ったのは一度や二度じゃなかった。

「ふ…っ、ん、そこ」

「ここ?」

ぐちゅり。

酒を飲んで飲まれて毎度の様に人の上に跨がるキャプテンが好き勝手腰を振るのを眺めながら、ベッドヘッドに預けた体がキャプテンに合わせて揺さぶられる。

容赦されない気持ちよさに息が上がる中、飲みかけの酒を口に運ぼうとすればその瓶が手元から奪われた。

「はっ…随分余裕そうだな」

「ん、きつ…っ」

「っ、あ! 」

咎める様に締め付けられたそこに腰が震え、刺激に身を震わせたキャプテンの胸元に舌を這わせれば挑発的にキャプテンの口角が上がる。汗ばむ肌が扇情的で、細い腰を悪戯に揺さぶればその眉が悩ましげに寄せられた。

互いの余裕無くす程の激しいセックスも好きらしいが、案外キャプテンはこうしただらだらと戯れる様な気だるいセックスが好きで、それを表すように上気した顔がゆっくりと笑みを浮かべる。

俺から奪った酒を口に含んだキャプテンの唇が寄せられ、上から落とされる口付けに薄く唇を開けば流れ込む生ぬるいアルコール。酒と一緒に潜り込んだキャプテンの舌先が異様に熱く、この人も酔ってんなぁと侵入して来た舌に舌を絡めた。口内を嬲るわけでなくゆっくりと舌を絡めるキャプテンのキスは、上手いというよりエロい。

「っ、もう一口、ちょうだい」

「ん」

太腿を撫でる指先に身をよじるキャプテンに強請れば、再び酒を流し込まれる口内。顎を汚す酒とも唾液ともつかないそれが首筋を伝っていくのを感じ、それ以上零さぬよう口付けを深めれば覗き見たキャプテンの目は満足そうに細められ、焦点も合わないような距離でその視線すら絡ませた。互いに緩く揺らした腰がイイところを掠めたのか、顎を固定するように添えられた手が僅かに震えキスの合間に吐息が溢れ落ちる。

舌を絡めたまま腰に添えていた手が攫われ、腹と腹との僅かな隙間、互いの腹に擦れていたキャプテンのペニスに宛てがわれた。腹を汚していた先走りが手のひらにまとわりつき、ぐちゅりと粘着質な音を響かせればひくりと震えたキャプテン。

背後に倒れるようにかけられた体重が、より深く互いを咥え込ませた。

「イキそ」

「まだ、早ェよ」

ぐちゅり。

音を立てながらも焦らすみたいに動きを止めた腰に、ブーイング混じりの恨みがましい視線を向けるとSっ気たっぷりに微笑んで見せる顔。

「我慢した方が、イイだろ?」

そう言ってぺろりと唇を舐めた赤い舌が視線を奪う。ああもう、この人本当にエロいなぁなんて、再び口移しで流し込まれた酒が甘ったるくてくらくらした。